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「おれの気持ちが追いつくまで待つ? ねぇ、それってどこまで追いつけばいいの?」 この気持ちはカズマだけがもってるんじゃない、見くびらないでほしい。 確かに告白されて気づいたからおれの方が遅い。 けれど、おれだってずっとずっとカズマの事を想ってきた。 「会長やアキに触発されたのは、無いと言ったら嘘になるかもしれない。でも、それとこれとは別だよ。ぼくは自分の気持ちで、カズマとシたいと思ってる」 心から…抱かれたいと思ってる、本気で。 それなのに、 「〝浮かれてる〟だって? おれがそんな軽い気持ちでカズマの事想ってるように見えてた? やったー嬉しい!って、そんなことだけを考えてるように…見えてた?」 嘘でしょ、笑わせないでよ。 「おれの気持ちを、甘く見るな」 「ーーっ、」 つい冷たい口調になってしまって、言い返そうとしたカズマの口がまた閉じる。 それにふふふと笑って、両頬を包むように両手を添えた。 「ねぇ、カズマ。 もしかしてだけど…おれを抱くのが怖い?」 「っ、」 「あぁ、図星なんだ」 やっぱり、2人に相談しといてよかった。 この視点には本当に気づかなかった。 だって、ぼくはもうとっくに乗り越えた壁だと思ってたから。 ……でも、そんなの自分だけだったみたい。 「カズマ。おれは男の子だよ」 「…知ってる」 「男の子なんだから、それなりに性欲だってある」 女の子もあるとは思うけど、でもやっぱりそういうことに対する考え方は根本的に男女で違うのだと思う。 「ヤりたいなって…エッチしたいなぁって、思うよ。 でも、誰とでもいいわけじゃないんだ」 おれは、心から愛する人としたい。 「カズマじゃなきゃ、嫌なんだ」 「イ、ロハ……」 「カズマとじゃなきゃ…絶対、嫌」 真っ直ぐに、綺麗な目を見つめる。 「そりゃ男だから好きな人のこと抱きたいなって思うよ? でも…おれはカズマになら抱かれてもいいって思ってる。だってぼくがカズマ抱くなんて想像つかないもん」 「っ、それなら別に無理してしなくても」 「んーん、無理なんかしてないよ」 無理なんて、本当にしてない。 「カズマとだったら、おれは確かに女の子の役かもしれない。でも、カズマはおれを女の子だと思ってないでしょ? だから、大丈夫」 安心してというように、短い髪を優しく撫でる。 「おれはね? カズマ。ただエッチがしたいだけじゃないの。 ーー好きな人と、繋がりたいんだ」 ハッと見開かれた目に、自分が映ってるのが見えた。 「もうずっと…ずっと好きって言いたいと思ってて、やっと言えて恋人同士になれて……おれ、もう我慢なんかできないやっ」 「イロ、ハ…」 「なのにさ? なに、カズマは我慢できるってわけ?意味わかんないそれ。おれむーりー!こんなに好きなのにお預けなんて耐えられませんー!!」 わー!っとカズマの上に倒れると、条件反射のように大きな手で包み込んでくれる。 ずりずりと体を上にずらしていって、コツンとおでこ同士をぶつけた。 「カズマはさ、真面目なんだよ。あと優しすぎ」 「ぇ、」 「いっつもいっつもいーっつもぼくの気持ちを優先する!自分の気持ちはどうなの? カズマは何考えてるの?」 「っ、俺は…」 幼い頃からずっと一緒にいた所為で、もしかしたらおれよりカズマの方が性別の概念に囚われてるのかもしれない。 でも…… 「もうさ、自分の気持ち優先しなよ」 (ぼくは、大丈夫だよ) 至近距離からいつものように笑ってみせた。 もう守らなくてもいいんだよ? これからは、ちゃんと隣に立っておれもカズマのこと守るよ? そんな対等な関係に…なろうよ。 今まで押し潰してきたカズマの気持ち、おれも汲み取っていきたい。 だから、ねぇ教えて。 「カズマは、どうしたいの?」

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