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sideカズマ: 俺の気持ちは

「………っ、はは、あー……」 降参だ。 やられた。 イロハの背に回してた手で自分の目元を覆い、はぁぁ…と大きく息を吐いた。 「お前、本当に強くなったな」 「えっへん!まぁね!」 「俺の後ろに隠れてた頃が懐かしいよ……」 そのまま吸って吐いてを繰り返してから、またゆっくりと手を回す。 「大切にしようと、思ったんだ」 ずっと想い続けていた人と晴れて恋人同士になれて、だから大切にしないとと思って。 「でも、返ってそれが臆病になってたんだな」 「クスクスッ、そういうこと」 「はぁ…この俺がまさかお前のことを怖がってたとは……こんなちんちくりんの」 くるくるの天パをわしゃっと撫でると、いつものように擽ったいと笑われた。 本当、強くなった。 学園に入学した時から変わってはきてたけど、ハルやアキと出会ってからもっと成長した。 強く、しなやかに。 なんとなく、イロハがこそこそ2人に相談してるのは知ってた。でも、あいつの事だから何やかんや言っても結局は俺が動くまで待つんだろうと。少しの誘いがあっても、軽くスルーすれば諦めるだろうと考えてた。 だが、俺が甘かったな。 あぁ…本当に。 見くびってたのは、俺の方。 ーーこいつも、ちゃんと男なんだ。 「なぁ」 「?」 「本当に、いいのか?」 俺は、お前を抱きたい。 もうずっと前からそう思ってた。 お前は、それで良いのか……? 「…ふふ、今更何言ってんの」 至近距離から、大きな目が強く笑う。 「寝る前のあんなキスなんかじゃ全然足りない。 ーーだから、もっとカズマを頂戴よ」 「ーーーーっ、あぁ、そうだな」 グイッと場所を交代して、ベッドに沈むイロハの上に乗った。 「俺も、あんなキスだけじゃ耐えられなかった」 「あははっ、それなら襲ってくれれば良かったのにーオオカミみたいに!」 「本当だな」 俺たちのペース? そんなもの知るか。 ペースなんざ、自分たちで自由に作れるものだった。 見上げてくる瞳には、微かな期待と緊張。 安心させるよう頬を撫で、目尻に軽くキスする。 「もう止められないから。抱くぞ、イロハ」 「……っ、うん。キて、カズマ」 微笑みながら両手を広げる姿に、自分の体を沈めた。

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