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その7: ハルとアキの話

--------------------------------------------------------- ◯リクエスト ハルとアキのイチャイチャ話を。 ハルsideでアキと仲良い話を。 --------------------------------------------------------- ※後半シリアスになってしまいました、すいません。 【side ハル】 「いい天気だねぇ」 「だなぁ……」 日曜日 外はポカポカ陽気で、外に出ない方が勿体ないくらい。 こういうのをピクニック日和って言うのかな。 「これが俗に言うピクニック日和ってやつかもな」 「っ、あははそうだね!」 「? 何ハル?」 「なんにも。あぁ幸せー!」 こんなにいい天気なのに、僕たちは部屋のソファーでゴロゴロしてる。 今日はレイヤは実家に帰ってるからアキもいる。だから、僕がアキを独り占めできるんだ。 イロハとカズマも2人でまったりしてるだろうしね。 前だったら「今日はいい天気だよ!お外行こうよ!」って訪ねてきてたかもだけど、今はきっと2人でいるはず。 ふふっ、イロハたちも上手くいって良かったなぁ。 上手くいかないはずないとは思ってたけど、家のことも含めちゃんと収まって良かった。 「なぁハル」 「ん?」 「俺たち今凄いぐーたらしてるな」 「してるね。ソファーと同化しそうなくらい動いてないね」 「だな。もういっそ同化するか」 「いいかも、気持ちいし日も当たって最高〜」 何の話してるか全然わかんないけど、部屋着のままボケーっと並んで座ってる。 (同化…同化か……) 「ソファーもいいけど、僕はアキとも同化したいなぁー」 「ぅわっ、ちょ、ハル重い!」 「嘘でしょ? 重いとか傷つく!」 アキの方にぐいーっともたれると、そのまま一緒にソファーへ倒れた。 「クスクスッ、あーぁ倒れちゃった」 「やったなハル。お返しだ!!」 「ぇ、ぅわっ!」 ぐるんと体制が入れ替わって、アキが僕の上に乗る。 そのまま「わー!」っと倒れるように覆い被さってきて。 「きゃーアキ重い!」 「はっはっは!もっと潰れろー!」 「たいむたいむ!ちょっと待って」 戯れて笑って、ある程度遊んでから2人でコロンと寝転がった。 「……ねぇ、アキ」 「ん?」 「気持ちいいね」 「クスッ、そうだな」 狭い狭いソファーの上。 互いに背中へ手を回して、ぎゅぅっと抱きしめ合う。 さっき同化したいって言ってたけど、元々僕らは同じ細胞だったんだよね。 それがたまたま2つに分かれて、今こうして双子として生まれてーー (あぁ、気持ちいい) 抱きしめてる体も、それを感じている自分自身も、触れ合ってる体温も 全部全部。 幸せが溢れてきて、どうしようもなくなる。 コツンとおでこを合わせると、同じ色をした瞳と目が合う。 にこりと笑う顔も…きっと今僕と同じ事を考えているみたいで。 ポツリ 「僕、アキと双子で良かった」 「っ、今それ俺も思ってた」 「ふふふふっ」 この幸せを手に入れる為に、いろんなことがあった。 でも…その全てを乗り越えて今こうしてここに居られて。 (巡り合わせって、本当凄いや) アキのことを心から大切にしてくれるレイヤや、僕らの月森になってくれた先輩。 本当の事を知っても離れていかずに手を貸してくれた友だち。 見守ってくれる先生。 たくさんの人たちに…僕らは支えられている。 (もう、たくさんだ) この前、アキやイロハは「次はハルの番!」って言ってくれた。 けど、充分満たされすぎて……本当に何もいらない。 大体、僕はーー 「ハル」 「ん?」 「ありがとう」 「っ、なにそれ、何のお礼なの?」 「俺、今本当に幸せなんだ。まだ夢見てるくらいに……ずっと側にいてくれて本当にありがとう。 これからもよろしくな」 「……ふふふっ。 僕の方こそ、これからもよろしくね」 (僕は、アキより早く死ぬと思う) 双子だけど、病弱な分寿命はきっと僕の方が短い。 だから、もしその時が来たとき…アキを支えてくれる人が欲しいと、ずっと思ってきた。 そして今、アキや僕の周りにはたくさんの人がいて。 レイヤというかけがえのない人も作れた。 (充分幸せじゃん) こんなに満たされているのに ーー他に何を望むの? 恋人は、いらない。 だって悲しませるだけだから。 僕はこのまま、アキやイロハの幸せを眺めてるだけでいい。 (なんか、ポジションがおじいちゃんかな…) こう、孫を見守る的な…… まぁいいや。 「ふぁ…ぁ、なんか眠くなってきた……」 「俺も……」 暖かい日差しと優しい体温に包まれて、思考がとろりとしてきて。 そのまま、2人で抗うことなく眠りに落ちたーー fin.

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