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ガチャッ! 「こんにちわー!!」 あれから買い出しそっちのけでハルの親衛隊のみんなと楽しい時間を過ごして、分けられている各グループからそれぞれ1つずつ誕生日プレゼントを貰った。 そのどれもがハルとお揃いの品で、嬉しくて嬉しくてまた涙が出てきてしまって、そしたらみんなが一斉にハンカチを貸してくれてーー (この声は…イロハ?) 「タイラちゃんやっほー!親衛隊のみんなも!」 「こんにちはイロハ様っ」 「イロハ、どうしたんだ?」 「ふふふ。2人をね、迎えにきた!! って、アキがハンカチに埋もれてるんだけど……」 「「??」」 俺たちが頭に〝?〟を浮かべる中、特に驚いた様子もなく会話する2人。 あ、もしかして、 「「これも、計画通り?」」 「ピンポーン!」 親指を立ててニヤリとイロハが笑う。 「それじゃ、そろそろ次の場所に連れてってもいい?」 「はいっ。僕たちはゆっくり過ごすことができましたので」 ここへ来て2〜3時間ほど。 お昼の時間を少し過ぎたくらいだ。 「よし、じゃあ2人とも次行こー!」 「「ぇ、わぁっ」」 グイッと手を引かれ、慌てて立て上がった。 「あ、アキ様っ。 先ほどの件本当によろしいですか?」 「うん、いいよ」 実は、みんなからのサプライズはもうひとつあった。 それは『ハル様の親衛隊みんなで、アキ様の親衛隊もお作りしたいのですが…』という提案。 俺たちが双子だから一緒の親衛隊にしたほうがいいのではないか?というみんなからの意見だそうで。 『ーーっ、よろしく…お願いしますっ』 その心遣いが嬉しくて嬉しくて、ありがとうと頭を下げた。 本当、いいメンバーだよな。 ハルのことも大事にしてくれるし、こんなに優しい隊を俺がOKしない筈がない。 やっぱ隊長とか副隊長…先輩やタイラの人柄がみんなに移ってるだろうか? あの時、親衛隊を作る選択をして本当に良かった。 (そういえば、先輩見てないや) 後から来るのかな?と思ったけど、結局現れなかった。 なんか用事でもあったのか……? 「かしこまりましたアキ様!では、隊のルールはハル様のものとほぼほぼ変えずに、幹部等の選出をさせていただきますね。また整い次第共有いたしますっ! それでは、お2人ともいってらっしゃいませ」 「「ありがとう!」」 「ハル様アキ様、引き続きお楽しみくださいね〜!」というみんなからの声に、笑顔で両手を振って イロハの後をついて行ったーー 「ん、来たか」 「ただいまカズマっ!」 「「こんにちは」」 寮へ帰ってきて、イロハたちの部屋に案内される。 待っていたようなカズマに通され「お邪魔します」と中に入ると…… 「「わぁ………っ」」 リビングはキラキラした装飾品で飾られていて、美味しそな軽食やお菓子がテーブルいっぱいに並んでいた。 「「ハル、アキ、お誕生日おめでとう!」」 「「ふたり…とも……」」 ふふふと笑う2人が暖かくて、またじんわり涙の幕が張ってくる。 それに気づいたイロハがぎゅぅっと抱きしめてくれて、カズマも頭を撫でてくれて。 「〜〜っ、」 また声が出なくなってしまった俺の代わりに、ハルが2人分の「ありがとう」を言ってくれた。 「親衛隊のみんなが豪華なもの用意してたから、おれたちは軽めの軽食にしたんだ。小腹が空いた時にでもつまんで?」 「お腹が空くまでは、こっちだな」 「「??」」 腕を引かれてソファーに座る。 目の前のテーブルにはノートパソコンの画面。 これはーー 「おーい!ハルとアキ来たよっ!!」 「顔見せろよ」 『……おー』 (っ、この…声は) パッと写った画面には、黒髪と相変わらずの気怠げな顔。 『よう。久しぶりだな』 「佐古くん…?」「佐、古……?」 『ふはっ、俺以外の何に見えんだよ』 可笑しそうに笑うのは、確かに佐古で。 「なんで……」 『あ? んなのてめぇらが誕生日だからだろ。ったく…こっちは時差で寝みぃんだよ……ま、いいけどな。 誕生日おめでとう、ハル、アキ』 「「ーーっ、」」 画面上に映る顔は、サプライズ成功とでも言うようにニヤリと笑ってる。 あぁ…本当に 「「……っ、ありがと、佐古(くん)」」 こんなに幸せで……いいのだろうか?

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