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それから少しハルと話して、「じゃあな」と手を振った。 「アキはもう寝てっから、また明日分けてやれ。多分美味いぞその飴」 「うん、そうする!!ありがとうサンタさんっ!」 「おう」 「ばいばーい!」と見送ってくれるのを背に、元来た庭まで歩いていく。 (はー、まじ) すげぇ夢だった…いや現実なのか? ってかあいつらクソ小さかったな…可愛かった…… あーもっと抱きしめとけば良かったか?? 「ん?」 歩いてた足がズブリと地面に沈む感覚。 見おろすと、光る地面に吸い込まれている。 (あぁ、帰るのか) 今度は抗うことなく、ゆっくりと眼を閉じた。 「………ん、帰ってきたな」 眼を開くと明るい自室の中。 窓からは朝日が入っていて、時間帯はまだ朝ということが分かる。 12月24日 クリスマスイブ。 時間は、まだあるな。 スマホを開いて月森の名前をタップした。 『龍ヶ崎? こんな朝早くからどうしました?』 「月森、ちょっと手伝え」 あんなに悩んで堂々巡りを繰り返してたのに、あいつらの明確なプレゼントがするりと決まった。 (変なタイムスリップだったが、良かったかもしれねぇな) 夢か現実は分からないが、それでいい。 幼いあいつらと会って…その心に触れることができた。 「めいっぱい、甘やかしてやんねぇとなぁ」 『……クスクス、何やら面白いことを考えてそうですね。いいでしょう、協力いたします』 「あぁ」 電話を切ったら即準備だ。 買い付けにも行かねぇとな、親父に車出してもらうよう頼むか。 両親や月森の手を借りるのは恥ずかしいと思っていたのに、今の自分の行動に笑えてくる。 楽しいクリスマスにしよう。 たくさん笑って、幸せが溢れてくるようなクリスマスに。 そのためには、先ずーー 月森と通話しながら、明日の為 動き始めた。 (メリークリスマス、アキ、ハル。) ((わぁ…っ! レイヤこれ……!!)) 〜fin〜 *** クリスマスにレイヤがタイムスリップする話は、前々から書きたいものでした。 レイヤが双子にどんなプレゼントを用意したのかは、皆さまそれぞれのご想像にお任せします。

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