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sideハル: で、日常なんだけど……
「はーいハルちゃん、次後ろ向いてねー」
夏休みが終わって、2学期。
学園は今、文化祭に向け慌ただしく準備が行われている。
体育大会はあんまり参加できなかったけど、文化祭は僕でも参加できる行事。だからちょっと楽しみ。
アキも去年ちゃんと参加できなかったらしく、「楽しみだな、楽しみ」と浮かれ気味の様子。
(なんか、学校でするお祭りみたいな感じかな)
外のお祭りも行ったことはないけど、屋台に出し物にわくわくするような言葉ばかり書類に並んでる。
この学園の文化祭には後夜祭もあるようで、それは文化祭の終わった1週間後に行われる。
外部の人を招いていい文化祭と比べ、後夜祭は生徒のみ。
文化祭の打ち上げ的な立ち位置なんだそう。
そんなこんなで、行事を司る生徒会は現在体育大会並みに忙しい。
いや、後夜祭もあるからどっちかというと今回のが大変かも。
各クラスの出し物の進捗確認に見回り・予算面の調整・当日のスケジュール……
これらを自分たちのクラスの出し物準備と両立して行うことが本当に難しくて、てんてこまい。
僕も、自分の体調第一になんとかこなしてる。
因みに、文化祭には期間限定で実行委員会という運営チームが発足する。
去年それを取り仕切ったのは副会長と秘書。
今年は、レイヤ提案のもと会計と書記…イロハとカズマが担当することになった。
1年生から3年生までまとめるのは大変かもしれないけど、なんとか頑張ってほしい。
…って、こんな感じで日々が進んでるんだけど………
「うん、今回も異常はないかな」
僕の体に聴診器を当てながら話す先生。
旅行後、また2週間に1度の関係に戻った。
でも旅行前と違い先生の本性も知って僕自身もちょっとだけ手を伸ばしたから、多少は何か変化があると思ってた。
でもーー
(なんにも…ないんだけど……)
前となんら変わらずおこなわれる検診。
平平坦々と工程をこなし、抱きしめられ好き好きタイムされて終わり。
は? え、なにこれ。
旅行中のがっつきはどこいったの?
あまりに普通に戻りすぎて拍子抜けしてしまう。
なんだろう……なんか、嫌な感じだ。
先生って僕のこと好きなんじゃないの?
好きって、キスとかそういうのがしたいんじゃないの?
ただ愛でたかっただけ? 僕を可愛がりたかっただけ?
それってもしかしてlikeやfavoriteみたいな意味だったりする??
(うそ、でしょ)
ーー先生の「好き」は、ただ単に僕をお気に入りに入れたいだけだった…?
というか、こんなこと考えてる自分も気持ち悪い。
なんなの僕、なんでこんなので悩んでるわけ。気持ちは返せないけどって思ってたのにおかしすぎ。
「はい、今日の分終わり。お疲れさま。
さぁて、ぎゅーしよっか。おいでー……ハルちゃん?」
いつまでも通常運行な姿に腹が立ち、じと…っと睨みつける。
なんなんだ本当、一体。
僕から手を伸ばしてもいいと思って伸ばしたのに、全然じゃないか。
学業に生徒会にクラスにと目まぐるしく日々が進んでるのに、先生とのことは何も進まない。
先生の心の中はどうなってるの?
僕への想いって、執着心だけ……?
よくもわからず、結局は「はい捕まえた」と腕の中に取り込まれて。
「…………」
謎のモヤモヤと悔しさにグッときて、目の前の体を叩いた。
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