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「初めは気持ち悪いし怖いしでとにかく大変で、マサトさんも恨んだし先生に会うことを了承した自分も恨んだ。 実際夏休みは最悪だった。初日から体調が崩れて、脅されてまた崩れて…海にも落ちて…… でも多分、それがなかったら僕はあなたを所有物にしてなかったと思う」 信じれなかった。言うのは簡単だから。 でも実際にその姿を見せられて、変わった。 この人は本当に僕しか眼中にない。 海へ落ちたとき、アキよりも早く飛び込んで沈む僕に追いつき、レイヤへ引き渡した。 医者なら普通、引き渡さずに船へ上げ応急処置をするだろう。 でも、先生は僕の想いを優先した。助けながらこの体の現状維持ができるのを確認し、僕が探していたイルカを探しにいった。命に関わる場面では考えられないこと。 僕の想いを100%叶えるという意思と、自分は絶対僕より先に死なないという自信。 それを目の当たりにして、こんな人と出会う確率はどれくらいなんだろうと思った。 人間なんだから想いを捻じ曲げたって命を最優先する。それが医者なら尚更。 でもこの人はそうじゃない。命より想い。その人がどうしたいのかを最優先にし、叶える。 眼中に入れたそのたった1人の人が、どうしたいのかをーー 「先生。僕はここに着いて、あなたが普段使う場所を案内してほしいと思いました。文化祭で僕の使う場所ばかり知られて不公平だって。 ……僕も、あなたを知りたいって」 知りたい。 誰よりも1番知っておきたい。 そうじゃないと 「嫉妬…してしまいそう、で」 事実、もうしてる。 文化祭からずっとだ。最悪、まさかこんな気分になるなんて。 でも、なってしまったものはしょうがない。 「僕は、あなたに所有物以上の気持ちを抱いています。 あなたに向けられる視線は全部排除したいし、想いも僕のだけを叶えてほしい。先生の手で触られるのは僕だけがいい。キスも、その先も、絶対絶対僕だけ。僕だけじゃないと嫌だ。 それぐらい……先生のことを、愛してます…っ」 (言っ、た) 言った。言ってしまった、全部。 帽子のツバからチラリと見上げると、未だ微動だにしない顔。 ローブを握りながらあわあわと視線を下げる。 どうしよう、引かれたんだろうか。 『依存していい』とは言ったけど、それが愛情に変化するなんて思いもしなかったとか? 僕にはただの所有物で…お気に入りで、いてほしかった……? (っ、でも) 「なので…あのっ、 ーー責任、取ってください!」 この人のせいで僕はこうなった。 こんなに変えられてしまった。 だから責任もって 「僕に、同じ『好き』を…返してください……っ」 「…………」 「……ちょっ、先生聞いてます? いつまでだんまりなんですか? 意味わからない…? 僕のこと大好きなのは知ってるけど、favoriteじゃなくloveで返してほしいって言ってて、それで」 「…………」 「…せ、んせ……?」 「…………なにこれ…現実?」 「……はぁ??」

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