うちに帰ると冷えた体をぎゅっと小さくしながら、俺が風呂のスイッチを入れにいって、久瀬さんは買っていたチキンを温めにいった。 「あれ？　久瀬さん、風呂」 「あぁ、お前を迎えに行く時つけといた。帰ってすぐに入るだろ？」 「あ、うん。って、ねぇ、久瀬さん、ワインって、それ」 　丸々一本、コルク栓のやつじゃんって指差すと嬉しそうににやりと笑った。一本くらいじゃ酔わねぇっつうのって。そんで、俺にはお子様用のシャンメリー。未成年かもしれないだろ？　だって。 　俺は、飲めないから。久瀬さんが一人でそれを飲まないといけない。だから、普段はキャップになっているワインボトルを買うのに。 「ほら、風呂入って来い。晩飯、準備しといてやるから」 「え、けど」 「いいからっ」 　俺の歳はね。 　本当はさ。 「チキン、いっぱい食べろよ。腹減っただろ？」 　本当は。 「あ、けど、ケーキ分開けとけよ。胃袋」 　あんたは俺の歳を知らない。打ち明けていないから、俺のこと、あんたは知らない。 「このケーキうっまいなぁ」 「本当、美味い」 　あんたは知らない。 「……」 「な、何？　久瀬さん」 「んー？　すげぇ、食ってるなぁ」 「だっ、だって、腹減ってたんだよ」 「あ、クロ」 「？」 　けど、俺も知らなかった。 「お前、口んとこに、チョコクリームついてるぞ」 「ぇ？」 「ここ、ほら」 「っ、ン……」 　クリスマスがこんなに嬉しいものだなんて、知らなかった。 「ン、んくっ……ン」 　久瀬さんの、舐めるの好きなんだ。舌で裏筋のところをなぞって、亀頭をアイスみたいに舐めてから、鈴口のところにキスをする。唇についた透明な苦いのを舌ですくって味わってから、竿に手を添えて根元にもキスをする。膨らんでる根元の袋にも、キスをしてから、口の中いっぱいに久瀬さんのペニスを頬張って、口の中ぎゅって。 「クロ」 「？」 　顎のところを指先でくすぐられて、顔を上げた。顔を上げた拍子に鳴った鈴の音に身体が火照る。 　見つめられてイきそうだ。 「あ、久瀬、さんっ」 　こんな首輪をして、美味しそうにフェラをしている俺の髪を優しく撫でてくれたら、もう、イってしまいそうになる。 ――今、開けちゃダメ！　うちで、成と一緒に開けて？　ね？ 　そう言われたから、お風呂上りにあけたんだ。これ、アキさんから頂いたんだって、久瀬さんと一緒に見ようと思って。 　中から出てきたのは鈴のついた、首輪だった。鈴が鳴ってしまわないようにってそこだけビニールで覆われて、黒い革の、首輪。 　すごく恥ずかしかったけれど。でも――。 「久瀬さんっ、俺っ、もぉ」 　でも、ちょっと付けたかった。だってこれ、猫みたいだ。 　本当に、この人だけの黒猫になれそうで、嬉しかった。 「クロ」 「っン」 　名残惜しいペニスから口を離すと、指先が俺の唇をぬぐってくれた。フェラに夢中になってたから、きっとはしたないくらいに濡れてたよね。 「おいで」 　伸ばされた手に甘えるように頬を摺り寄せると、言われたままに、久瀬さんの身体の上に乗っかった。その拍子に鳴る軽やかな鈴の音。 「久瀬さん？」 　頬を撫でながら、ジッと見つめられた。 「俺の、美味かった？」 　恥ずかしい。そんな美味しそうに頬張ってた？ 「お、いしかったよ……久瀬さんの、太くて、硬いペニス」 「……」 「久瀬さんの、舐めるの、好き」 　今、あんたがなぞってくれるこの唇でいつまでも咥えていたくなる。全部、先の丸いところから、竿の血管が浮き出てボコボコしているとこまで全部、この口の中で。 「食いしん坊だな」 　この身体の奥で気持ち良くしてあげたい。 　あんたのが咥えた瞬間、舐めてきつく扱いた時、硬く大きくなるのがたまらないんだ。俺の口の中で気持ち良さそうに跳ねるのも、ゾクゾクする。 　フェラしてる俺が、すごく気持ちイイ。 「可愛いよ……たまらなく」 「あ、ンっ……久瀬さんっまだほぐしてっ、な」 　早く風呂入って来いって、久瀬さんが急かすから、しっかりあったまって、あったまったらすぐに出て来いって、急がせるから、準備してない。その孔に久瀬さんの指がローションのぬめりをまといながら入ってくる。 「いいんだよ」 「あっ、ちょっ」 「俺の黒猫なんだから」 　指だけで感じて。 「俺が全部世話してやる」 　久瀬さんの上に寝転がっていた俺は背中を反らせて、甘い声を、甘い鈴の音を鳴らす。その首輪にキスをされて、鎖骨のところをきつく吸われた。長い指を孔のとこできゅんって切なげに締め付けながら、大きな掌にうながされるまま、少し前へと身体をずらす。そして待ってた舌に乳首を可愛がられたら、フェラしながら反応してた自分のがトロリと濡れたのがわかった。 「あっ、ぁっ……ン、ぁ、ちょっ、久瀬さんっ」 　孔をほぐされながら、乳首を丁寧に舐めしゃぶられて、切なさが増していく。久瀬さんの硬い腹にペニスを擦り付けるように腰を揺らした。指にもっと可愛がられたくて、舌に乳首を苛められたくて。 　撫でてって、甘えてたら、ぐいっと、身体をもっと前へ移動させられた。 「あ、や、だっ久瀬さんっ」 　先走りを久瀬さんの腹に塗りつけてたペニスを咥えられて、ぞくりと快感が背中を駆け抜ける。 「や、ぁっ……」 　フェラの音に興奮する。じゅぽじゅぽって、あの人の唇がこんなやらしい音を立ててるって想像するだけでたまらなくて。前も後ろも、それこそ、久瀬さんとセックスするために性器になった孔でも、気持ちよくなりながら、倒れそうになる身体を壁に手をついて支えた。 「ぁ、久瀬さんっ、やだ、我慢できないってば」 　孔を指で暴かれて、ペニスの小さな鈴口を舌で割り開かれて、気持ちよすぎておかしくなりそう。 「あっン、っ……ぁ、久瀬さんっ、イっちゃう、口、離して」 　言ったそばから、指が前立腺を強く刺激した。 「はぁっ……ン、も、ぁっ、あっ」 　揺れて、貴方の口を、指を犯すのをやめられない。 　指に孔を柔らかくほぐされながら、舌と唇にペニスを扱かれたら。 「や、イっく……ぁ、あ、あっ」 　我慢なんて、できない。 「あっ……ンっ」 　久瀬さんの舌の上でイってしまう。 「あぁっ、はっ……ぁ」 　壁で身体を支えながら、柔らかい久瀬さんの黒髪を指にからめた。ねぇ、離して。これじゃ、あんたの口の中が不味くなるよ。 「あ、ぁっン、気持ち、イイ、久瀬さんっ」 　でも、まだ、味わいたい。久瀬さんの舌を、汚したい。 「久瀬さんっ……」 　フェラから解放された頃にはもう全部吐き出してしまってた。 「久瀬さん」 　この人の喉奥に、俺の欠片を飲み干してもらってしまった後だった。 「……久瀬さん」 　大好きな人にいっぱいイかせてもらって、孔を柔くやらしくほぐしてもらった。 「……好き」 「……」 「今度は、俺の中で、たくさん、イって」 　次は俺が身体を下へずらしながら、うなじ、鎖骨、胸、それとお腹のところにキスをする。ちゅぱって音立てて吸いながら、下へ。 　そして、そそり立って、とても苦しそうに張り詰めたペニスにキスをした。 「久瀬さん」 「……」 「あ、ぁっ……好き、だよ」 　何度目かわからないけれど、そう告白をした。そんな告白をしながら、自分で挿れていくと、中で、久瀬さんのペニスがもっと大きくなって、跳ねるから、また背中を反らせて甘く啼いて、鈴の音に身震いするほど感じてた。