70 / 106

雨の日イチャイチャ編 1 恋愛小説家の愛猫は甘く鳴く

「あぁぁっ、ン、ぁ、ぁ、あっ」  真昼間から、甘い声と濡れた音。それと、ベッドが軋む渋い音。  二人分の重さを受け止めてやってるのにもかかわらず、そんなの気もせず、遠慮もなしに、乱れて暴れられて、「やれやれ」って溜め息でもつくみたいに、ベッドが文句を音に変える。 「あぁぁぁっん」  でも、俺は気にもせず、愛しい人の腰に跨って、自分から気持ちイイところに擦り付けてた。下の口を窄めて、絞るように狭くして扱きながら、この人の腹筋にこうして自分のを擦り付けるのに夢中になってる。  今日は、我儘するって決めてた。たくさん抱いてもらおうと思ってたんだ。  オフ、だから、たくさんしてもらおうと、思ってた。 「あぁぁっ」  ここ、好き。 「あ、ンっ……ぁ、久瀬さんっ」 「っ、クロ」 「あン」  浅いとこ。深いところも好き。頭の芯が溶けたように快感が溢れてたまらない。けど、この浅いとこは自分の指で慰めて、宥めることができるから。たまに、久瀬さんの帰りが遅い時とかに、ひとりで、この人のことを思っていじってるとこを、今、その久瀬さんのペニスで、してて、たまらなく気持ちイイ。  俺の指よりずっと太い。ずっと熱い。俺の指と全然違う。 「久瀬さんっ、久瀬っ、さんっ」 「……」 「あっ、待っ、ぁっ、激しっ」  夢中になって腰をくねらせ、その浅いところに擦り付けてたら、その腰を大きな手で、長く骨っぽい指で、鷲掴みにされた。そして、いきなり下から激しく突き上げられて身体が跳ねる。  グンって、奥まで抉じ開けられて、またずるりと引かれて、もっと深くへ。激しく何度も、何度も。 「ぁ、あっ、だ、めっ」  俺は慌てて、繋がってる孔に手を伸ばした。 「久瀬さんのが、零れるの、やだっ」 「っ」  だって、今日は、俺がオフだからって中にしてくれたのに、もったいないじゃん。久瀬さんが俺の中でイってくれたのに、零れちゃったら、ヤだから。孔んとこを締め付けて、手で、繋がってるそこから零れてしまわないようにって。 「あっ、待っ」  手で押さえようと思ったのに、体勢を入れ替えられて、手をベッドに押し付けられた。そして久瀬さんが動きやすいようにと脚を大胆に拡げる。 「ったく、お前は」 「あっ、はぁぁぁっ」  零れる。久瀬さんの欠片なんだ。やだ。もったいない。 「いくらでもしてやる」 「ぁ、あぁあぁぁぁっ」  零さないでって、窄めた孔を遠慮なしに硬くて熱いペニスが貫いた。深く、大胆に、濡れた音がもっと誰が聞いてもやらしいことをしてるってわかるくらいに卑猥に。出し入れにまとわりつくそれが泡立つくらいに激しく。 「ぁ、あっ、俺っ」 「クロ」  久瀬さんが怒ってるみたいに顔をしかめて、俺の中、するのたまんない。すごく激しくて、熱くて、苦しいくらいに攻められると、ダメなんだ。もう、ほら――。 「ぁっ、久瀬さんっぁ、激しいっ」 「……クロ」  イく。  そう思った瞬間、激しさが和らいで、中をゆっくりじっくり行き来する。 「ぁ、はぁっ」 「ゆっくりされるんのは? あんま?」 「ん、んんんっ、好きっ」  これ、されると、おかしくなりそうになるよ。すごく気持ちイイ。 「じゃあ、これは? 好きか? 浅いとこ」 「ン、ぁ、あっ、あ、あン、好きっ、それ」  小刻みに浅いところを久瀬さんに擦られるの好きなんだ。やらしい気持ちが止まらなくなって、恋しさに切なくなる。 「クロ、お前、オナニーんとき、ここ、すると好きだろ」 「! なっ、なんで、知って」 「本当にそうだったか? 見たわけじゃねぇよ。ただ……」  さっき、騎乗位で夢中になってたから、そう前かがみになった久瀬さんが羞恥で真っ赤になった俺の耳元で囁く。 「やらしいぃ」  オナニーのことも、今さっき、自分が久瀬さんのに夢中になって擦り付けてたのを気が付かれたことも、どっちも恥ずかしくて蒸発しそう。 「あ、ぁ、ン……だって」 「クロ」  浅い、孔の口の辺りを擦られると、やらしい気持ちが溢れて、恋しくなる。 「ぁ、あぁぁぁああぁぁぁあ!」 「たまんねぇ」  その恋しくて切なくなった身体の奥を一突きで深く貫かれたら。 「ぁあっ…………あ」  堪えられるわけない。 「ぁぁっ、久瀬さんっ」 「すぐにイったな」 「ぁ、だって、好き」 「奥も?」 「好、きっ」  もっとして、欲しい。たくさん、すごくたくさんがいいんだ。 「好き、久瀬さん、もっと」 「あぁ」 「あ、あっ」 「いくらでも、してやる」 「あぁああぁ、ぁぁぁぁっ」  激しくして。奥に何度も注いで。掻き乱されたいんだ。久瀬さんに、たくさん、愛して欲しい。 「あ、ぁ、もう、また、俺、イくっ」 「っ」 「イっちゃう。久瀬さん、俺っ」 「あぁ」  たくさん、俺のことをいいこいいこって、撫でて。 「あ、イくっ、イくっ、イっ……ぁっ」  そうねだるように脚を思いきり開いて、見せ付ける。 「久瀬、さんっ」  見てて。俺、もう、イく。貴方のペニスだけで、もう。  その姿を見てて欲しくて、脚を、尻尾のように、愛しい主の腰に巻きつける。愛しい主に尻尾を絡ませ甘い声で鳴く俺は。 「クロ」  この人だけの愛猫だ。

ともだちにシェアしよう!