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猫先輩編 7 溺愛セックス
「んっ……ぁ、久瀬、さん」
西向きの部屋は午前中の方が少し薄暗い。レースカーテンをしめておいたら、電気をつけないとちょっと……ってくらいには。
「あぁ……ン」
そんな午前中の、まだ日が空のてっぺんにだって登っていない部屋に猫の甘い鳴き声が響く。甘え方を先輩猫に教わったばかりの、不器用な黒猫の。
いつもいい子にしないとって思ってた。今だって思ってる。俺は愛しい小説家の愛猫だから、その人の生業にしている「書くこと」の邪魔はしたくない。
「あ、ンっ……乳首、あぁっ」
けれど、久瀬さんは俺のことを愛しい猫だと言ってた。愛猫、だからいいんだって。
愛猫だけは、この人の「書くこと」を邪魔しても、叱られないんだって。
「あ、あ、あっ……っ」
したいだけ擦り寄って甘えていいんだって。でも、久瀬さん。
「ん、んんっ……っ」
でも、甘えたいだけ甘えていいってさ。
「なんだよ。クロ」
「っ、んんっ」
そう言うけど、でもさ、俺、久瀬さんのこと大好きなんだ。久瀬さんしか好きじゃないし、いらない。久瀬さんしか欲しくない。ねぇ、だから、甘えたいだけ甘えていいって本気にしちゃうとさ。ずっと、あんたに甘えてしまうことになる。
「言えって」
「あ、あっ」
ずっと、あんたのことを欲しがる我儘な猫になってしまう。
「クロ」
乳首、噛んで。
「クロ」
もっとして。舌で舐めて。
「クーロ」
もっともっとたくさん、可愛がって。俺のこと、たくさん。
「も、もっと……」
「……」
かまってよ。
「もっと、乳首、噛んで、欲し、あっ!」
ソファに埋もれるようにこの人に抱かれて、捲り上げられた胸に噛みつかれた。甘く噛まれて、舌で濡らされて、足先がピンと伸びるくらいに感度が上がる。噛んで欲しいと甘えたら、噛んで摘んで、齧られて、気持ち良くて、たまらなくなる。
「あ……久瀬さんっ」
こんなことしてる時じゃないのに。
執筆、しないといけないのに。
たくさん仕事があるし、たくさん書きたいことがあるこの人の手を止めさせてしまう。止めて、その大きな手に触れてほしくて。両手で久瀬さんの大きな手を取ると、その掌にキスをした。
「ん……久瀬、さんっ」
文字を綴る宝物の指にしゃぶりついて濡らした。
「お前、ほんと、俺の指好きな」
「好、きだよ」
「っ、そんな必死にしゃぶるなよ」
「ん、ンっん」
「興奮するだろ」
低い声でそう囁かれて、とろりと濡れた。先走りがじわりと滲んで、たまらなく切なくなる。
「して、興奮、ん、む……んくっ……ん、ンン」
ソファの上でずり動いて、寝転がった状態の俺の顔の辺りに跨ると、もうはち切れそうなそれが目の前にあった。太くて、硬くて、熱くて、後で、俺の中をいっぱいにして、掻き回してくれる、久瀬さんの。
「ん、んんっんぁ……ンむ」
ペニス。
「クロ」
「んっ……ン」
それに夢中でしゃぶりついた。竿の裏筋のところを舌で擦って、舐めて、喉奥に亀頭が来るように、頭をずらして。
「ク、ロ……っ」
貴方の股間に切なげに額を擦り付けながら、ペニスをたくさん舐めて、吸って、キスをする。
「お、まえなぁっ」
「んあっ」
もっと、ズンと質量を増して、口の中で大きく硬くなったペニスを喉奥で絞るようにしゃぶりつこうとしたら、ずるりと喉から、抜けてしまった。
「あ……久瀬さん」
もっと、可愛がって。もっと、甘やかして。もっと――。
「早くここ、も、欲しい、久瀬さん」
だから自分から脚を開いて孔を見せた。久瀬さんの視線がそこを向いただけで、ゾクゾクって興奮が増して、孔がヒクヒクと久瀬さんを欲しがる。
「やらしい猫だ」
「あっ……だめ? 俺っ」
「ダメなわけあるか」
「あぁ、指、気持ちぃ」
その孔にさっき濡らした指が入ってくる。ずぶりと入れられて、孔を抉じ開けられていく。あの、優しい言葉をたくさん紡ぐ、優しい指先に。
「あぁぁぁっ」
「中、絡みついてくる」
「あ、久瀬さんっ」
あの優しい指が俺の中を可愛がってくれる。広げて、柔らかくして、久瀬さんのペニスが入るように。
「中、キュンキュンさせるなよ」
「あ、だって、無理、気持ちい」
「早く、挿れたくなる」
そう言って少し苦しそうに笑う久瀬さんの長い指にまたしゃぶりついた。早く、挿れて欲しい。久瀬さん。早く。
「ちょ……だい」
「……」
「貴方のやらしい猫のここ、を、たくさん……可愛がって欲しい」
言いながら、脚をもっと大胆に開いた。孔を自分の指で広げながら。はしたなく、まだお昼にもなってない時間に、抱いて欲しくて、ペニスを挿れてほしくて、脚を開く。
「あっ」
ペニスの先が孔に触れただけで、蕩けそうだった。
「あぁっ!」
亀頭が挿れられただけで、気持ち良さに身体が仰け反った。
「あ、あ、あっ……あぁっン、あっ」
「クロ」
「あ、ん、して、奥にもいっぱい、久瀬さんの、欲しい」
「っ」
「あぁっ、あ、あ」
お腹の中が久瀬さんでいっぱいになる。何度も何度も、激しく突かれて気持ち良くて。
「久瀬さん、の中に欲しい」
「っ」
「お願い。中に出して」
頭を擦りつけて、中で絞るようにペニスを締め付けて、懇願した。ねぇ、ねぇねぇ、って甘えた。
「クロ」
覆い被さった久瀬さんが俺の首に噛み付きながら、激しく腰を打ち付けてくれる。自然にずり上がりそうになる身体を両手で抱き留めながら、たくさん太いので抉じ開けられて、その激しさに足先がキュッと丸まった。
「クロっ」
苦しそうな声に感じた。
「あ、あぁぁぁぁぁあ!」
我慢せずにイった。前立腺のところをさっきしゃぶりついた太いので擦られながら、堪えることなくイった。
「あっ……ン」
「っ」
「んぅ……ん」
中でドクドクと放たれる久瀬さんの熱に、その腕の中で身震いしながら、首を引き寄せて深い口づけをねだる。舌を絡めて、唾液が溢れて零れて、それでももっとって主の舌にしゃぶりついて。
「ん、久瀬さんっ……ん、ク」
もっとがいい。
「久瀬さんっ」
もっとしたい。
「クロ、って、おい、ちょっ、うわっっ……たたた」
引き寄せたまま、ソファから転げ落ちると、久瀬さんが俺の下敷きになろうと慌てて、テーブルに二人してぶつかった。ガタンと音を立てて、テーブルが斜めに傾いて、俺と久瀬さんはラグの上に沈む。
「お前なぁ、危ないだろ」
「平気だよ。俺、アスリートなんだから」
「そういう問題じゃねぇ」
「久瀬……さん……ぁっ」
今度は俺が久瀬さんの上に跨って、まだ繋がったまま、中に放ってもらった白が溢れてしまわないように、きゅっと締めていた孔の奥を、クンってペニスで突き上げられて、背中を逸らせて甘く鳴いた。
「ああっ!」
「クロ」
「あ、あ、あ、あ、っ」
そのまま何度も突き上げられて、仰反る身体を下から眺められて。
「ダメ、待っ」
「クロ」
いくらでも甘えて、主に可愛がってもらっていい。
「あっ……ん」
だって、俺はこの人の愛しい猫だから。
「もっと、して、久瀬さん」
「……」
「もっと欲しいよ」
抱き合いながら沈むようにキスをした。深く、卑猥に、いやらしいキスをしながらまたセックス をする。陸の陣地から転げ落ちて、深海へと沈むように、まだ日が空のてっぺんにさえ届いてない昼間から、いやらしいセックス に溺れて、喘いで、愛し合った。
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