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猫に媚薬編 2 とろけた猫
何、これ。
「クロ?」
身体が熱くて、身に付けてるものをひん剥きたくなる。
「はっ、あっ」
なんで、これ。
それの、せい?
またたび? って、久瀬さん言ってた? それって、猫用の? 猫が興奮する作用があるとかっていう。でも、俺――。
「クロ?」
「あっ、っ」
心配そうに差し伸べられた手に頬を撫でられただけでたまらなかった。近くに久瀬さんが来ると、その、もう片方の手に持っている木の棒から甘い香りが強く鼻先を刺激する。もう堪えられそうもないくらい、その強烈に甘い香りに酔ってしまう。
「あっ……」
ただ、頬を撫でられただけなのに、俺。
俺。
ぎゅっと自分の服を胸のところで握り締めながら、前屈みになって膝から崩れ落ちそうになるのをどうにか堪えた。
でも、なんで、こんな身体が。
「……クロ?」
「な、んか、変っ」
口の中が勝手に潤っていく。唾液が溢れて、まるでご馳走でも目の前にしているみたいに、あの指にしゃぶりつきたくなる。甘い香りが漂ってたまらない指先に。
「クロ……?」
「た、すけて……久瀬さん、俺、おかしく」
猫みたい。
本物の猫みたいに、おかしくなる。
「あっ、指……ん、んんんんんんっ」
その指に唇を撫でられただけでまた達してた。
「ん……はぁっ」
甘い香りのする指が唇に触れて、柔らかさを確かめるようになぞってくれるだけで震える。
「ふぅ……ン」
唾液が、ほら、勝手に溢れ出す。
「ん、ン」
「なんのスイッチが入ったんだ?」
「わ、かん……なっ、んク……ん、ン、そレ、甘い匂いがする」
「これ?」
コクンと頷いて、敏感になりすぎてる、コントロールが効かなくなった身体をぎゅっと丸めた。
「俺には何にも……」
「で、も」
久瀬さんはスンと鼻を鳴らしてそのまたたびの匂いを嗅いだ。多少、何か匂う気もするけれど、でも、だからって何か身体に変化があるわけじゃないと首を傾げてる。
でも確かに甘い香りがしてるんだ。美味しそうな匂いがしてる。しゃぶりつきたくてたまらないいい匂い。
「すごいなクロ、まるで」
「あっ、あっ」
股間を骨っぽい大きな久瀬さんの手で撫でられただけで、頭の芯が痺れた。その腕にぎゅっとしがみついてないと耐えられないくらい。二回も達して濡れたそこがジンジンと疼いて、身体の奥のとこ、腹の底まで濡れていく感じがした。
「まるで、発情期の猫みたいだ」
「あぁぁっ」
久瀬さんの手に恥ずかしいほどぐしょぐしょにしたそこを撫でられながら、首筋にキスをされたら立っていられなかった。しがみつきながら、ズボンの中でまた達して。
いつも久瀬さんが執筆している間の俺の居場所になっているソファの上に寝転がると、濡れたそこのボタンを久瀬さんが片手で器用に外して、チャックを下ろしてく。
「クロ、すごいことになってるな」
「あっ」
暴かれた。はしたなく、ぐっしょりと濡らしたそこを。
「あっ……」
「まだ何もしてないのに、こんなにイッたのか?」
「あぁ」
「びしょ濡れだ」
ぐしょぐしょだぞ、と俺に覆い被さりながら耳元で囁かれただけで、また濡れる。
「久瀬さん、久瀬、さんっ、指っ、ちょ……だいっ」
呼吸が乱れる。その自分が吐き出す呼吸の熱に喉が焼けそうなくらいに熱くて。
「指?」
そう、その指にしゃぶりつきたい。舌を這わせて、口いっぱいに頬張りたい。
久瀬さんは手に持っていたまたたびを持ち替えて、たった今まで握っていた方の手を俺へ差し出した。
「ん……ン、む」
望んだままにしゃぶりついたら、久瀬さんのその指が口の中を責め立ててくる。頬の内側を撫でられて、歯の鋭さを確かめるように指でなぞられて、口の上顎のあたりをその指に優しく触れられるとたまらなかった。
「ふぅ……ン、もっと」
「すごいな。唾液でベトベトだ」
「あっ……ごめ……」
またたびを持っていた手で久瀬さんが自分のルームパンツと下着を一緒くたに引っ張って、ズリ下げた。そして、その手ですでに硬くなってるそれを撫でて。
「……ン」
見てるだけで喉が鳴るほど、欲しくなる。
俺は、溢れた唾液を飲み干した。
「クロ……」
「あっ」
甘い香りをまとった指でその硬くそそり勃ったそれを久瀬さんが握った。
「あっ……ン、む」
甘い香りがそれにも移って、俺は唾液を唇の端から溢れさせながら、それにしゃぶりつく。
「お前の口の中、熱い」
「んっ」
「まさか、またたびが効いてるとか、なのか?」
「わ、かんな、あっ……」
さっき指で撫でられたのが気持ちよかった頬の内側を久瀬さんのペニスの先端でなぞると身震いするほど気持ちいい。
「でも、美味しい」
「っ」
ちゅう、と吸い付いてそのまま口の中にできるだけ、自分から咥えた。口の中で丁寧に舌を這わせると心地よかった久瀬さんのペニスがピクンと跳ねて、もっと大きくなっていく。
「んっ」
美味しくて止まらない。
「ンンっ」
舐めて、吸い付いて、久瀬さんの腰にしがみつきながら口いっぱいに頬張った。
たくさん。
「やばいな」
「あ、ごめ……」
「ちげーよ」
ソファの上で身じろいで、ぎしりと、合皮のソファーが音を立てた。
「ン」
「おかえりのキスを忘れるくらい」
「ン」
挨拶にしては濃厚な口付け。舌を絡め合って、唾液が糸を引くようなはしたなくて、キスだけで身体の中に炎がつくような。
「発情期のうちの愛猫が、たまらなく可愛いなぁって、思っただけだ」
身体の奥が、そのキス一つで発情した。
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