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第8話 言わないで

師長に部屋の前まで手当てに必要なものを持ってきて貰い、手当を始める。 傷は古いものから最近できたようなものまであって、随分と長い間をかけて、傷つけられていることが分かったが、誰がつけたかは不明だ。 (煙草…ということは20歳以上の誰かか…? いや、もしかしたら学校の不良と呼ばれるヤツとか…??うーん……) などと考えながら手当てをし、病院服に着替えさせて、またベッドに寝かせた。 数時間後―― 「う……やぁ…やめて……やだ……つれ…いで…。」 手当をした後、ずっとベッドの隣に座り、綺麗な寝顔を見ていた俺は、突然その子の様子がおかしくなりだしたことに気がついた。 どうやら魘されて少し泣いているようだ。 「おい、起きろ。大丈夫か??」 と声をかけると、その子は「はっ」としたように目を覚ました。 ぱっちりと開かれたまるで少女のような二重で、部屋と自分の状況をぐるりと見回し、 俺の存在を確認すると、少し良くなってきた顔色が再び真っ青になる。 「やっと目が覚めたか?身体で痛いところは…」 「…たの……?」 その子が小さな声でボソボソと何かを話す。 「え??」 「僕の身体…………見たの………?」 「?あぁ、傷のことか??かなり酷いし、親御さんにも報告をした方が…」 「…言わないで。」 そう言う声は震えていて、とても弱々しい。

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