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第9話 自己紹介

「どうして?」 その理由を答える気は無いらしく、少しの間沈黙が流れる。 「………というか僕、親いないし。」 (親がいない…?) と少し考えると、先程の竹内という担任の話と繋がった。 「……あぁ。だから竹内先生が"保護者"って言ってたのか」 「何で先生のこと…?」 少し慌てたような表情でその子はこちらを見る 「"今日一ノ瀬くんは体調不良で休みます"って俺が連絡したからな。」 「…!!!?何でそんな勝手なこと…!!! というかなんで名前…!!?」 少し良くなりかけていたさぁっと青ざめる 「生徒手帳をちょっと拝借した。 それに電車で倒れてからもう4時間経ってるし、まだ顔色もあまり良くない。 医者として行かせる訳にはいかないな」 「医者として…?あなた、お医者さんなんですか?? というか人の名前は呼ぶのに、自分は名乗らないんですね」 と言いながら、じとっとした目で見られる 「あぁ、確かに自己紹介がまだだったね。 俺は檜山宗一郎(ひやま そういちろう) この病院で精神科医をしている。」 「精神科医なのに僕の手当をしてくれたんですか?」 「ん?あぁ、そうだけど何かおかしいか?」 「あっ、いえ、精神科医も手当ができるんだなーって」 「まぁ一応医者だからな」 そこまで言うと、特にお互いに話題が無くなり、再び沈黙が流れた

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