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第20話 しにたい

そんな日を何度も繰り返したある日 僕は寒さにぶるりと身体を震わせ、目を覚ました。 ゆっくりと身体を起こすと、手錠は既に外されていて、手首と足首の手錠が擦れて出来た傷がズキズキと痛む (やっと飽きたのか。今は何時だろう…) ガンガンとする頭で考えながら、重い身体を引きずり、部屋のクローゼットを漁ると、パーカーを1枚見つけた サイズがかなり大きく、小柄な朔久が着ると膝丈のワンピースのようになりそうだ (これしかないのか…) ナイフでつけられた傷と身体中に付着した精液が気持ち悪いが、シャワールームらしき所もなく、取り敢えずそのまま服を着る (着ないよりはまし…だよね…?) その足で部屋のドアへと向かおうとすると ぐらぐらと目眩がする 「あっ」 服を探すときには何とか動かせていた脚が思うように動かず、ぺたんっと膝から崩れ落ちてしまう 「ははっ、一人で歩けないとか…ここまでする?普通……」 乾いた笑い声と、ぼそっと呟いた言葉が暗い部屋に溶けた。 どこからか差し込む光に気が付き、 そのまま顔を上げて壁の高い位置にある窓を見ると、冷たく光る月が見えた (あぁ…綺麗だな…) その体勢のまま動くことも出来ず、ぼーっとその月を見る ぽたっ 「あ、れ…?なんで…」 (1番最初にされた時も、) ぽた、ぽたっ (無理矢理されて痛い思いをした時も) 「泣かなかったのに…っ……」 ぽたっ、ぽたぽたっ、 「なんでっ、なんで僕だけが…っ…ひっく…も、もう…やだぁ………」 一度溢れた涙は止まらず、ぼろぼろとこぼれ落ちる (どうして?僕が悪いことしたの?? 何で叔父さんは僕にこういうことをするの?? なんで?なんで僕だけ???) 考えれば考えるほど、心が締め付けられるような感覚がして、涙は止まらない 「もう……しにたい…っ…」

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