20 / 38
第20話 しにたい
そんな日を何度も繰り返したある日
僕は寒さにぶるりと身体を震わせ、目を覚ました。
ゆっくりと身体を起こすと、手錠は既に外されていて、手首と足首の手錠が擦れて出来た傷がズキズキと痛む
(やっと飽きたのか。今は何時だろう…)
ガンガンとする頭で考えながら、重い身体を引きずり、部屋のクローゼットを漁ると、パーカーを1枚見つけた
サイズがかなり大きく、小柄な朔久が着ると膝丈のワンピースのようになりそうだ
(これしかないのか…)
ナイフでつけられた傷と身体中に付着した精液が気持ち悪いが、シャワールームらしき所もなく、取り敢えずそのまま服を着る
(着ないよりはまし…だよね…?)
その足で部屋のドアへと向かおうとすると
ぐらぐらと目眩がする
「あっ」
服を探すときには何とか動かせていた脚が思うように動かず、ぺたんっと膝から崩れ落ちてしまう
「ははっ、一人で歩けないとか…ここまでする?普通……」
乾いた笑い声と、ぼそっと呟いた言葉が暗い部屋に溶けた。
どこからか差し込む光に気が付き、
そのまま顔を上げて壁の高い位置にある窓を見ると、冷たく光る月が見えた
(あぁ…綺麗だな…)
その体勢のまま動くことも出来ず、ぼーっとその月を見る
ぽたっ
「あ、れ…?なんで…」
(1番最初にされた時も、)
ぽた、ぽたっ
(無理矢理されて痛い思いをした時も)
「泣かなかったのに…っ……」
ぽたっ、ぽたぽたっ、
「なんでっ、なんで僕だけが…っ…ひっく…も、もう…やだぁ………」
一度溢れた涙は止まらず、ぼろぼろとこぼれ落ちる
(どうして?僕が悪いことしたの??
何で叔父さんは僕にこういうことをするの??
なんで?なんで僕だけ???)
考えれば考えるほど、心が締め付けられるような感覚がして、涙は止まらない
「もう……しにたい…っ…」
ともだちにシェアしよう!