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第21話 どこ
一頻り泣くと、頭がぼーっとして腫れぼったくなった瞼が重たくなってくる。
(眠たいけど、今ここを出ないとまた男達が戻ってくるかもしれない…逃げなきゃ…)
と自分を奮い立たせて、幾らか動くようになった脚で体を引き摺るようにして、壁をつたって裸足で部屋を出た。
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部屋はホテル街にある小さなアパートだったようで、少し道なりに歩くと、ネオンの看板がギラギラと光る知らない通りに出た
(ここ…どこ……?)
と思いながら、裸足で路地を歩く。
なんとか脚を動かし続けると、かなり遠くの街まで来たようで雰囲気が変わった
(だいぶ歩いたし、ここまで来たら大丈夫かな…)
ふぅっと息をついて、建物と建物の間の路地に座り込む
頭がぼーっとして痛い
ナイフで切られた所が痛い
無理やりされた後ろも痛い
(寒い……)
さっきまでは逃げることだけに必死だったから気が付かなかったが、かなり寒い。
(もう11月だもんな…)
白い息を吐いて、ぶるりと身体を震わせると、体育座りをして腕でぎゅっと脚を抱える
(僕はどこに行こうとしてるんだろう)
(帰ったらまた犯されるだけなのに)
(帰る場所なんかないのに)
ぼーっとそんなことを考えていると、歩き疲れたせいか、さっき泣いて腫れた重い瞼がおりてきた。
(なんか…眠たいな……)
(このままここで寝たら死ぬのかな。)
『辛くなったら電話とかLimeして』
と言った檜山さんの優しい顔が頭に浮かんで、少し幸せな気持ちになり、そのまま僕は目を閉じた。
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