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第23話 虐待
(朔久が倒れた…だと…!!!!?)
今日は日勤、明日は非番という勤務予定になっていた為、近くのバーで呑んでいた宗一郎は1万円札を財布から取り出してカウンターに置くと、
「釣りはいい。また今度ゆっくりと呑みにくる」
とマスターに言って、コートとカバンを抱えて走り出した
救急車を呼ぶくらいだから、相当酷い状況なのだろう
昨日会ったばかりの朔久を思い出す
思い返してみると、昨日も身体に相当な傷跡があった
首の手形
根性焼きの痕
切りつけられたような傷
そして保護者には「言わないで」という言葉
(最初はいじめかと思っていたけど、もしかして朔久は虐待にあってるのか…!?)
そう考えると全ての点が線で繋がる
昨日、家に帰ってから何かあったに違いない
「くそ……っ…!」
昨日の時点で気が付くことが自分が憎らしくて仕方がなく、唇を噛み締めると鉄の味が広がる
(取り敢えず急がなければ…!!)
と宗一郎は更に脚に力を込めて走り出した
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