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第29話 ××

『ゆうえんちー!!!』 ぷりぷりと怒る、小学生くらいの男の子と若い夫婦が見える 『ははっ、××は仕方が無いなぁ』 『そうねぇ…お誕生日だから特別よ?』 『やったぁー!』 男の子はぴょこぴょこと飛び回ると、小さな帽子をかぶって父親に駆け寄った 『さぁ!じゃあ準備して行くよ』 と言う父親の顔はマジックで塗りつぶされているかのように見えなくなっている (あれ…これって……) 次の瞬間、トラックと自動車がぶつかり、車が大破する 「…っ…!!!!?」 すると場面が変わり、今度は病院の白い壁の霊安室になる 『おとうさん…?おかあさん………? ねぇ、おきて…?おきてよ…っ……』 『××くん。お父さんとお母さんはもう…』 と、若い男に肩に手を置かれるが男の子はそれを振り払った 『やだ!!!!離れない!!!』 小さな子供の泣き声が静かな病院の霊安室に響いた。 次は小さい白い部屋に、女の人と中学生くらいの男の子がいる 『気持ち悪い!!!!!あんたなんて…あんたなんていなければ良かったのに!!!!!! そうしたら友久も…!!!!!』 ばしんっと頬を叩かれると男の子は俯いた 『なによ…!何よその目は!!!!』 『あんたが居なければ事故も起こらなかったんじゃないの??』 『…っ』 『ほら、図星じゃない!!! あんたなんか死ねばいいのよ!!!! ほら死ねよ!!!!』 お腹を蹴られて男の子は倒れるが、女はそれでも尚蹴り続ける 『死ね!!!!!』 『う゛っ…』 次はその白い部屋で、一人の男に男の子が犯されている姿が見える 『あ゛っ…やだぁ…もうむりだからぁ…っ』 『はっ、何が無理だよ…ここは締め付けてきてんじゃねーか』 (やだ…見たくない…!!!) 目を瞑って手で覆い隠しても見えてしまう光景に、呼吸がどんどん浅くなり、世界がぐらぐらとしてくる 『お前が居なければ兄貴は生きてたんだよ!!!!』 『っひ…ごめんなさ…っ…ぁ…』 ヒューヒューとしてくる呼吸は抑えられず僕は膝から崩れ落ち、意識を手放した。

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