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第3話
代わりに与えられたのは、平均より高い身長と、筋肉のつきやすい、男らしく健康的な体躯。垢抜けない一重まぶたや低い声は、どうやったって守られる対象のそれではない。大河内典生 というじじくさい名前も、見るからに体を表すようでコンプレックスだった。
仕事とはいえ、優れた双子のガーディアンに、家柄しか取り柄のない典生の相手をさせるだなんてどうにも気後れしてしまう。お金と引き換えに与えられる優しさを、手放したくないと思ってしまう自分に辟易とした。
三年という契約のリミットは、もうすぐそこまで迫っている。
* * *
「典生様、髪がはねていますよ。仕方がない人ですね」
くすくすと笑いながら、小鳥遊臣 が艶やかな美声で「こちらへ」と典生を促した。ブラシとドライヤーを握る指は長く、節がしっかりとしていて男性らしい。昨夜はその指が典生のあらぬ場所に触れ、優しく、甘く、とろけるような快感を与えてくれた。『治療』のことを反芻して、頬にさっと朱が走る。
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