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第12話

 ストレス緩和のための薬を処方され、臣と芹が会計を済ませて鞄に入れる。大きな病気や風邪ではなかったが、本人よりガーディアンたちのほうが診断結果にショックを受けていた。 「ずっとおそばについていながら、典生様の心労に気付かず、申し訳ありません」 「俺たち肝心なところで役立たずだよね。毎日隣で典生様を守ってるつもりで、何やってるんだろう」  帰宅すると典生をソファに促し、水と薬を手渡してから、二人が頭を下げた。ぼんやりしていた典生は慌てて姿勢を正し、ブンブンと首を振る。 「役立たずなわけないだろ! 二人には身に余るくらいよくしてもらってるし、感謝しかしてない。頼むからそんなこと言わないでくれ」 「典生様……」  二人の声が同時に典生を呼ぶ。友達もろくにいない自分なんかの近くにいてくれる唯一の存在を失ったら、典生は孤独と寂しさでどうにかなってしまうだろう。仕事でなければきっと相手にもされない中途半端なオメガだ。「あなたに興味はないです」と言われるのが怖くて目を背けていたくせに、弱気な心の隙間から、甘い期待が顔をのぞかせる。

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