「もし……もし二人が了承してくれるなら……卒業しても、ガーディアンとしてそばにいてほしい」 「え……」 　魔が差した。言うつもりのなかった言葉が、口をついてこぼれ落ちた。臣と芹が目を見開き、二人で顔を見合わせる。 「典生様、もったいないお言葉ありがとうございます。私もおそばで典生様の身をお守りし続けたいという気持ちは本当です。でも……」 「俺たちね、二人で手を組むのは成人するまでって決めてたんだ。施設育ちで家族もなくて、頼れるのは臣だけだったから。でも一人の力で生きていける年齢になったら、コンビは解消して、それぞれの道を歩むって決めてるんだ」 　だから契約の延長はお受けできません、と臣が申し訳なさそうに続ける声は、まるで薄膜で隔てられた向こう側から聴こえるようだった。 　あんまり二人が優しくしてくれるから、少しは脈があるかもしれないなんて恥ずかしい勘違いをしてしまった。やっぱりな、という諦めと、腹の中で渦巻くマイナスの感情をぐっと抑え付け、典生はなんとか口角を上げる。