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第14話
「そうだな。長い間ありがとう。ここを離れて、もし俺の……大河内の助けが必要になったらいつでも言ってくれ。できることならなんでもする」
油断したら情けなく泣いてしまいそうだった。臣と芹が心配そうな眼差しを向けてくる。それが切なくて、すぐにでも一人になりたかった。
「疲れたから少し寝る。何かあったら父さんに連絡するから、二人はもう下がっていい」
グラスをテーブルに置き、自室へと移動する。二人がかりで甲斐甲斐しく着替えを手伝われ、ベッドに押し込まれた。されるがまま大人しく毛布の中に潜り込んだ刹那、睡魔に襲われ、意識を手放した。
典生が目を覚ますと、時計は夜の九時を指していた。上体を起こした瞬間、テーブルに残された書き置きが目に入る。
【何かあったらいつでも呼び出してください】
きれいな筆跡は臣のものだろう。キッパリと契約の延長を断られたことを思い出し、胸が締め付けられる。身体がパラパラと砂になってこぼれていく気がして、つなぎ止めるように胸元を握りしめた。現実を受け入れるのが怖い。たまらず典生はベッドから飛び出した。
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