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第15話

 上がけを一枚羽織って玄関を飛び出す。行くあてなどどこにもない。ふらりと電車に乗り、気がついたときには学校から一番近い公園の前で立ち尽くしていた。  いつの間にか微熱を通り越して熱が出ている。動悸がして、足が震え、視界がぼんやり霞み始めた。体重を支えようと慌てて公園の柵を握った直後、誰かが典生の肩を掴んだ。 「こんな時間にこんなところで発情するなんて、君いやらしい子だね」  振り返ると、脂ぎった中年男が薄ら笑いを浮かべている。ゾッと背筋が粟立った。発情期は昨日終わったばかりなのに、体中の熱さもどかしさも、たしかに典生のよく知る感覚だ。 「誰かにヤられたくてこんなところにいるんだよね。そんな淫乱オメガちゃんは俺がかわいがってあげる」  気持ちの悪い笑みを浮かべた男に腕を引っ張られる。大声で叫ぼうとしても力が入らず、腕を振り払うこともままならない。

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