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第17話

 この男はわかりすくていい。自分なんかには絶対に好意を持たないし、期待すらさせない。担がれた場所から羽根崎の体温が伝わり、一気に緊張が解けた。瞳から涙が溢れ出し、鼻をぐじゅりと啜ったところで「げ」と声がする。 「鼻水つけんじゃねえぞブス」  いつも通りの口汚さに安心して、何もかもどうでも良くなった。ただ発情期の火照りだけが典生を支配する。住所を聞かれても舌がもつれてロクに答えられない。兆してしまったアレが羽根崎の胸元にぶつかり、何度も文句を言われたが、結局彼は典生を見捨てることなく、自室へと連れ帰った。  あいつらを呼んですぐ帰れ、と言われたが、まだ臣と芹の顔を見るのは怖い。発情期の渇きと湧き上がる欲望に突き動かされ、典生はベッドに座った羽根崎の腰に、許可もなく腕を回した。 「はあ、はぁ、羽根崎……助けて」 「あ?」  珍しく声をひっくり返らせて、羽根崎が目を剥いた。どう思われたって構わない。とにかく燃えるような熱をどうにかしたくて、典生は男の胸に頬を擦りつけ、欲しい、と懇願した。  彼は眉間にぐっとシワを寄せ、「帰って双子にやってもらえ」だの「お前なんか好みじゃない」だの、散々文句を言って取り合おうとしないので、典生は羽根崎を押し倒し、股間に手を伸ばした。

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