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出会いと不要な温かさ 03歩
「はぁ…はぁ…」
「大丈夫。ゆっくり呼吸しろ」
お兄さんは優しく僕の呼吸が落ち着くように、「大丈夫」という温かい言葉を掛けてくれる。
僕には勿体無い言葉なのに。
「はぁ…はぁ…」
「辛いな。ゆっくりスーッハーッて息するのを意識して」
「スーッハァッ…スーッハァッハァッ」
「偉いぞ。その調子でしてみろ」
ボーッとする頭でお兄さんの言うことに従う。
お兄さんは僕が落ち着くまで「大丈夫」「偉い」と温かい言葉を掛けてくれた。
呼吸が落ち着くと、僕はぐったりとした。
「ん。落ち着いたな」
「あ、あ、ごめんなさい…っ」
僕はお兄さんの声を聞いて膝に乗っていることを思い出し、ぐったりとはしていたけど、慌てて降りた。
もちろん立てるはずもなく床に倒れる。
「いきなり動いたら危ないだろ」
「ぼ、僕なんかが膝に乗ってごめんなさい」
僕なんかがお兄さんの膝に乗ってしまった。このお兄さんの迷惑になった。
汚い僕を触らせてしまった。
お兄さんにも「汚い。死んでほしい」と言われてしまう。
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