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出会いと不要な温かさ 04歩

倒れた僕にお兄さんは手を差し出してくれるけど、パシッとその手を払いのけて部屋の隅に逃げた。 「いってぇ…」 お兄さんは顔を歪め、払いのけられた手を撫でながら僕を見下ろす。 お兄さんの顔は綺麗なんだけど目付きが悪くて怖い。 その顔に見下ろされているから、更に怖く感じて震えてしまう。 この見下ろされ方は、思い出したくもないあの人達のことを思い出させた。 「ひぇ…っ」 過呼吸の次はガタガタと震える僕に、お兄さんは「ふぅ」と息を吐いて口を開いた。 「ちょっと待ってろ」 そう言ってキッチンに行って戻ってきたお兄さんに渡されたのは作りたての温かいココア。 僕はそれを素直に受け取った。 「これ飲んで落ち着け」 「…あ、ありがとうございます」 手を払いのけてしまったのにココアをくれたのはどうしてだろう。 僕が震えていて零してしまうかもしれないからか、ココアはマグカップの半分までしかいれてなかった。 きっと、お兄さんの優しさなんだろうな。

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