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23.Finding
「……アリ、エス…テーリャ……こ、れは…」
ラーヴェン王城、応接間。
そこには魔力で身体を小さくしたアリエステーリャと、娘のルゾライテの姿があった。
夜も更け、夜啼き鳥がさえずりはじめた頃の急な訪問で、心なしか女王ノエルの格好も常より抜けているようにも見える。
アリエステーリャは挨拶、急な訪問の謝罪、そして今回訪れた旨を軽く説明すると、懐から1つの水晶を取り出した。
人間には発音できない、という呪文を唱えると、大きな大理石の壁に投影されたのは彼女の娘であるリリマ、ノーラッド、そしてダグラナの姿だった。
「この子供、ダグラナ・アリア・フェルナンと言います」
「子供…? こやつがそうだというのか? 」
「お疑いにございますか、では…こちらを」
そう言ってアリエステーリャが水晶に手をかざすと、壁に投影されたのはまた別のもの。
アリエステーリャがダグラナの魔力を判定した瞬間のものだった。
「……この、光は……っ」
「この光は私から発せられるのが常。ですがこの時ばかりは何故かこの者の方から…。
以前、あなた様は仰いましたね、それが現れる時には、普通ではない何かが起こると。彼の者が現れた時、我が身には通常では起こり得ない何かが起こる…と」
言いながら、アリエステーリャは身に付けていた衣服を脱ぎ出す。……否、この時アリエステーリャが身に付けていたのは衣服などというものではなく、ただ身体に布を巻き付けていた、と表現した方のが正しいのかもしれない。
とにかく、その布を身体からはがす。
アリエステーリャの胸部から腹部にかけて、大きな火傷のようなただれた痕があった。
「…っ?! アリエステーリャそれは……」
「私めにもわかりかねます。我が娘のルゾライテが多少の知識がありますが、見たことがないと申しております」
しばしの沈黙が流れる。
すると、ノエルの座る椅子の隣で立っていた従者の1人が前に進み出る。
「女王、よろしいでしょうか」
「…なんだ、申してみよ」
前に出てきた従者……もとい、現ラーヴェン予言師のリュオンが、アリエステーリャの身体についた傷へと触れる。
「…っ」
「アリエステーリャ殿、この傷は痛みますか」
「…? いや、痛みは感じない。だが触られると酷く憎悪感のようなものがわく」
わかりました…と一言告げてリュオンが立ち上がる。
そして、声高らかに女王にこう告げた。
「女王よ、やっとこの時がやって参りました。
今は亡き我が母が視 たあの未来が!! 現実になろうとしている……!
このシェヴァンノに、現れたのです……!!!
永遠 の和平を約束する護り神が!!!」
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