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第2話
今日の僕はいつも以上に疲れていたせいか
美仔さんに暴力を振るわれ、晃くんに犯された後
外に出て少しでも家から離れようと街の方へ向かった。
時刻を見れば、もう23時でご飯を食べようとしても
お金がない。いやないっていうよりは取られたと
言った方がいいのだろうか。
あんな家族だから、せめてアルバイトをして
少しでも温かいご飯を食べたり服を買ったりしようと
働いていたのに、5ヶ月前そのことがバレて
それからは僕の働いたお金を全額奪い取り、
アイツら3人で楽しく使っていた。
さすがに頭にきたがそれを言えばどうなるか
わかっているから何も言わずに差し出した。
知らない間に街についていて
この時間帯の街は妙に怖い奴らが集まったりする。
だけど僕は家にいるよりは怖くないと思っている。
っていうのもここは黒崎組の監視下であって
何か起こることは滅多にない。
黒崎組というのはここらでは有名な組で
一度目を付けられたら必ず消されてしまうという
噂が立っているくらいだ。
ブラブラ歩けば街の裏側に来てしまい、
今日やられた怪我と腰があまりに痛いものだから
もう力は尽きてしまいその場に座り込み顔を伏せた。
その瞬間「おい。」と誰かが僕を呼ぶ。
上を見上げれば顔がよく整っていて、白に近い灰色の髪をした男が凄い怖い顔で僕に話しかける。
「なんですか?」
「お前ここで何してる」
「何?んー…家出?」
「そうじゃねぇ、なんでここに座ってんだって聞いてる」
「あーちょっと歩けないから休憩」
「餓鬼が夜にまでフラフラしてんじゃねぇぞ。」
何故僕が怒られているかわからないけど
ここはみんなの場所だし良くない?
もうせっかくの気分転換が台無し。
「お兄さん、あのね誰にだって事情はあるの。」
「だからなんだ?」
「んーだから…ほっといて…ほし…ぃ」
なんだか急に眠くなり、今誰かと話している途中だけど、どうでもいいし暴力を振るう人もいないから
寝てしまっても問題はないと判断し
僕はその場で意識を手放した。
目の前の彼がただの一般の人では無いことに
気付かずに。
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