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第8話

リビングで司が誰かと話している声が聞こえる。 ご飯を食べて寝ていた僕は その声で起きてしまった。 気になって少しだけ扉を開けて覗いてみると 少し不機嫌そうな顔で話している司がそこにはいた。 ーーー『若、1週間分の仕事は添付させて頂きました。』 「ああ、助かる。」 ーーー『それでなんですが…』 「なんだ。」 ーーー『先程、昨日言っていた裏切り者の長崎を捕らえました』 「それで?」 ーーー『目的を吐かせようとしたのですが、なかなか口を割らず我々苦戦しておりまして…明日、若も来て頂けないかと。』 「はぁ…わかった」 ーーー『申し訳ありません。助かります。』 「じゃ切るぞ」そう言って携帯電話を切り ポケットから煙草を取り出しベランダに行った。 電話が終わったのを確認すると部屋から リビングに出て司がいるベランダに行く。 そして後ろから司の背中をツンツンとすると 僕の存在に気づいてくれた。 「司、誰と話してたの?」 「起きてたのか」 「うん、さっき」 「実はな、明日急に仕事が入って家にいてやれなくなった。だから佑月、少しの間一人でいれるか?」 「うん、大丈夫。」 「飯は用意しておくから」 「わかった。」 初めて、司にお願いされたことだからちゃんとやらなきゃな。僕にできるかは不安だけどそれでも、やり切るしかない。なんの仕事をしているのかはわからないけど きっと司がやる仕事だから凄い仕事なんだ。 だから司が頑張っている間に 手当てしてもらったお礼として僕も頑張ろう。 そうして、僕は煙草の煙は少し苦手だから リビングへと戻った。 「佑月、こっちにこい。」 いつの間にか煙草を吸い終えていたようで、 司は佑月をリビングへと呼ぶ。 「どうしたの?」 「包帯取り替えるぞ」 「あ、うん…」 「ソファに座ってろ」 そう言われて、ソファに座ると救急箱を持ってきて佑月の前にしゃがむ。そして巻かれていた古い包帯を外す。 包帯を外せば、今も痛々しい傷がそこにあった。 「まだ全然だな」 「もう慣れたよ…」 「佑月、こんな事は慣れちゃいけねーんだ。わかるか?」 「んー多分?」 なんとなくで答えてしまったけど 本当は、司の言っている意味がわからなかった。だってこれは僕なりの償いでもあったし、これは受けて当然の罰だと思っていたから。 「じゃあ、お前が分かるように言う。親にせっかく助けてもらった体をこんな簡単に傷つけていいと思うか?」 「それは…ダメだと思う。」 「そうだろ?ならもっと自分を大事にしろ。わかったな?」 「はい。」 そんな話をしている間に包帯は取り替えられ、 綺麗になっていた。 「ほら、できたぞ」 「ありがとう…」 お礼を言うと僕は再び部屋に戻った。 お父さんに助けてもらった命… それは大事にしなきゃいけない。 でもそれじゃあ、僕はどう償えばいいんだろう? どう罰を受ければいいんだろう? まだわかりそうにないや…

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