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第16話

「つ、かさ…」 「今何しようとしてた?」 「違っ…」 「あ?違うってなんだよ?」 司は外に出ようとしていた佑月を抱え上げ リビングのソファに放り投げた。 投げられた佑月が手にしていたスマホを握り 目をつぶって司の方を見ようとしない中、ずっと鳴り響いてる佑月のスマホは司を更に苛立たせた。 「うるせえな。誰からだよそれ」 「…美、、仔さ、ん…」 「なんて?」 「…。」 「黙ってちゃわからないだろ?」 そうやって、司は僕の話を聞こうと 目線を合わせるようにしゃがむ。 だけど、今の僕には司のそんな気遣いすら 気づけないまま、本音を口にする。 「帰り、、たい…」 その言葉に司は一瞬表情を変えたが、すぐに表情を戻し、更に詳しく聞こうとする。 「その美仔ってやつが原因か?」 「違っ…違う…から、、帰らせって!」 何度も耳を傾けてくれた司だったが、それでも帰りたいの一点張りな僕に、とても冷たい表情で僕に向かって言葉を放った。 「はぁ…いいよ、帰りたいなら好きにすればいい。そのかわり、もう戻ってくるなよ」 「…。」 「…悪かったな無理に引き留めて。じゃあな。」 そう言うと司は佑月を置いて再び外に出て行った。 帰らなきゃ怖いから… 何をされるか分からないから。 ここにいれば安全なのは分かってる。 だけどこれ以上迷惑はかけられない。 それにアイツらにはストレスを発散する僕が必要なんだ もし、そんな僕が何日も家にいなければ 美仔さんが警察に必ず届けを出すだろう。そんなことがあれば確実に司が悪者だ。 アイツらは嘘をつくのが得意だから… だから、家を出るよ。 「ごめんね、、楽しかった…ありがとう」 誰もいない部屋にそう言って僕は家を出た。

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