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第20話

学校に来てから久々の授業、昼食、そして休み時間、友達と過ごす時間は本当に楽しかった。 普通の日常はこんなにもいいものなんだなと改めて感じる。 そんな日がもう終わりを意味する帰りのHRの時間。 先生に「白鳥は残るように」と言われ帰りは残る事になった。正直面倒くさいと思ったし、やっぱり早く帰らないとどうなるかわかったものじゃないから、さっさと終わらせよう。 そしてHRは終わり、皆続々と部活やバイトなどに向かい帰っていく。 「来て早々先生に呼ばれるなんてお前も運がないな…」 「本当だよね…でもちゃんと行くよ…」 「佑月は偉いわね!龍樹ならすぐにバックレるわ!」 「朱莉、お前もだろうが」 「あら、そう?」 「龍樹も朱莉も2人ともバックレる天才だよ…佑月くんと僕は偉いからちゃんと行くけど…」 「陽太、お前何ちゃっかり自分を正当化してんの?」 話はだんだん盛り上がっていき、時間的にもう先生のところへ行かなくてはならない時間になっていた。 もう少し話していたかったけど、僕は話を割り込んで入った。 「みんな、話の途中で悪いんだけど…そろそろ行かなきゃ」 「あ、そうだったな!頑張れよ!」 「佑月!頑張りなさいね!」 「佑月くん、ファイト!」 「うん、ありがとう。じゃ、行ってくるね」 僕はみんなに手を振り「またね」と挨拶をした後、先生の所に急いで行った。 先生がいるであろう部屋をノックすれば、「どうぞ」と言う声が聞こえたので、僕は扉を開けて中に入った。 「先生、なんですか?」 「白鳥…2週間ぶりの学校はどうだった?」 「楽しかったです。」 「それは良かった。」 先生は僕に普通の話をして様子を 確認したかったようだ。 そして本題を切り出すと言わんばかりの顔つきになり話を切り出した。 「で、白鳥…お前何か悩んでいるんじゃないのか?」 「…え?」 「今まで言わなかったが、お前…体に痣があるだろ?」 「…。」 「もしかして、暴力を振るわれているんじゃないかと思ってな。さっきも首元が少し痣になっているのが見えたんだ。」 まさか首元に痣があったなんて… きっと美仔さんが、首を掴んで僕を浴槽に突っ込んだ時についたんだろう。さすがに3日続けてやられたら跡もつくはずなのに、僕が見落とすなんて… なんとかして嘘をつかなければ、また美仔さんにやられる。 「違いますよ、これはバランスを崩してタンスの角に当たったんです。」 「そう…か。ならいいんだが。何かあれば直ぐに俺に相談しろよ。」 「ええ、分かりました。」 「悪かったな、俺の勘違いで不快な思いをさせてしまって。」 「全然ですよ、ありがとうございます。」 「では、これで失礼します。」 「気をつけて帰ろよ」 この時僕は確実に誤魔化せたと思っていた。 だけど僕は先生を甘く見ていたんだ。 そして気付けなかった。 何年も教師をやっている先生は 生徒の嘘なんて直ぐに見抜けるいうことに。

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