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第27話

『佑月…大きくなったわね』 「お母…さん?」 『貴方を一人にしてしまってごめんなさい』 「別にっ…気にしてないよ」 『貴方は優しい子だから…きっと自分を責めているんでしょうけど、決してそんなことはないわ』 「…。」 『貴方は悪くない、だからもう自分を苦しめないで』 「お母さん…言っている意味がわからないよ」 『貴方を遠くで見守っているわ。』 「待って!」 せっかく会えたのにまた遠ざかってしまう。 もっと話したいのに段々と離れて行く。 まだ、お母さんの言っている意味を教えてもらってない。 司も同じ事ような事言ってた… わからない。分からないよ… 置いて行かないで!1人ににしないで! 「───いやだ!行かないで!!」 目を開けるとそこは知らない天井で 横を見ても前を見てもお母さんはもういなかった。 その代わり僕の横には司がいた。 「佑月?よかった。待ってろ、今風見を呼んでくるから。」 「待って、、嫌だ。行かないで…」 そう言って離れていきそうな司の服を掴む。 また一人になってしまう気がしたから。 「どうした?怖い夢でも見たか?」 「ううん、お母さんに、、、会った…けどまた僕を置いて行っちゃった」 「俺はどこにも行かねえよ、だから少し待ってろ、な?」 「うん…」 そのまま司は誰かを呼びに行ってしまった。 本当に戻ってきてくれるかな? そんなこと考えたって無駄なのは 頭わかっていても少しだけ不安になる。 …それにしてもここはどこだろう。 まだ体が痛い。そして体が重い… そんな事を考えていると、病室の扉が開き、司が連れてきたであろう人が僕の前に立つ。 「佑月くん、初めまして。医者の風見です」 「今起きたって聞いたけど体調はどうかな?」 「えっ…と、、、」 今の自分の状況、そして急に話が進むことに よく理解できておらず、戸惑っていた時、司が隣に来て頭を撫でてくれた。 「佑月、コイツは俺の知り合いだ。だから安心しろ」 「うん」 「い、、まは…体が痛いのと、、少し怠い、です」 「そっか、それなら熱は下がってきているようだね。もう少し休めば完全に下がると思うからまだ安静にしててね」 「はい…」 風見さんは佑月を再びベッドに寝かしつけ 布団をかけたあと司のところへ行き、診断した結果を伝える。 「若、もう1日様子を見て大丈夫そうでしたら、家に戻ってもいいですよ」 「ああ、助かる。悪かったな…せっかくの休みに」 「いえ、若のためならなんでもしますよ」 「この分は来週の休みに追加しておく」 「ありがとうございます。」 「では、失礼します」 風見さんは司と話し終えるとそのまま戻っていった。 それを少し見て僕は再び司の服を掴み顔を覗く。 すると司は何かの覚悟を決めたかのように僕を 今までにないくらい真剣に見る。 「佑月、お前と少し話しがある」 「…?」 「聞いてくれるか?」 「うん」 ───そして静かな病室で司は話を始めた。

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