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第28話

「まず俺のことについて話す。黒崎組って知ってるか?」 「うん、噂で聞いたことがあるよ」 「その黒崎組ってのが俺の親父が仕切ってる組で俺はそこの若頭」 「じゃ、僕は消される?」 まず最初に思ったのは消されるかどうかだった。噂で一度目をつけられれば消されるっていうのが一番有名な話だから。 「あ?なんの話だ」 「え、違うの?噂で目をつけられたら消されるって…」 「なんだそれ。一般人にそんなことする訳ないだろ。」 「そうなんだ、ってことは一般人じゃなかったら消されるの?」 「さあ、な」 「…っ!?」 「心配するな、お前にそんなことはしない」 そう言って僕の頭を撫でる。 それは僕が一般人だからだろうか? 司のいる世界はとても怖いとこなのかもしれない。だからあえてこれ以上何も聞かなかった。 「話が逸れたが、そういう訳でここは本部の中だ。親父がいる本家はまた別にあるんだがな」 「うん」 「で、ここからが本題だ。…俺はお前をもうあの家に帰すつもりはない。昨日のお前の姿見て追い出したことを凄い後悔した。もうお前が傷つく姿は見たくねぇんだ。だから…俺の家に戻ってこい、佑月」 司が初めて僕に本音で話してくれたかもしれない。だったら僕も嘘をつかずに次こそは本当のことを司に伝えたいと思った。 「……僕はっ司と一緒にいた5日間は忘れられなかった。家に帰っても何度も思い出してた。ずっと会いたかった。でもっ…また連絡が来たらって思うと怖い…」 「俺が必ず守ってやる」 「…ほん、、と、に?」 「ああ、本当だ」 「僕の前から司は消えたりしない?」 「しない」 その言葉にどれだけ僕が安心して 心を救われたかは司はずっと知らないままだと思う。だから僕の答えは1つしかないんだ。 「僕…また司と、、一緒にいたい」 「じゃ、決まりだ」 そう言って話は終わったかのように見えたが 司の表情はまだ変わらなかった。 「まだ何かあるの?」 「ああ、一緒に暮らすとなれば、俺は組の人間だ。お前の事はいつか必ず知れ渡る。何かを失う事もあるかもしれない。俺がいる世界はそういう世界だ。それでもついてきてくれるか?」 「うん…だって司が守ってくれるんでしょ?」 さっき司は守ってくれると言った。 それに司はなんでもできる。 一緒にいた期間は短かったけどその短い期間で たくさん知ることがだからこそ信じたいって思えた。 そんな僕の言葉に 司は少しだけ鼻でフッと笑い「そうだな」と言う。 だから精一杯の気持ちを込めて改めて僕は告げた。 「司…よろしくお願いします」 「ああ、不自由はさせない」 こうして僕らはまた一緒に暮らすことになった。 「でも司…」 「なんだ?」 「司は…若頭って感じしないね」 「うるせえよ」 「ふふっ」 この時、元の僕らにまた戻れた気がした。 ずっとこの時間が終わらないで欲しいと思ってしまう程に。

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