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第29話
「つかっさあああああん!」
何やら外が騒がしい。
「どこですか!?ここですかあ!?」
その声と同時に佑月と司がいるベッドの
カーテンが思いっきり開いた。
「わぁ!この子が噂の子ですね?!可愛いっっ!」
「…?」
「山城、佑月はまだ治ってないんだ」
「佑月って言うんですね!名前も素敵じゃないですか!」
「山城、治ってねえから静かにしろって言ってんだよ」
「あ、すいません。つい〜」
僕の前に現れたのはとても面白そうな人で
司の知り合いとは思えない人だった。
司は優しいけど、ここまで元気がいいっていうのかな?
とりあえず…そういう人ではないから、
こんなに元気な人が身近にいるんだと思うと少しだけ驚いた。
「司、大丈夫だよ。お兄さんは、、えーっと…なんていうの…?」
「俺ですか!?俺は山城優って言うんですよ!よろしくっす!」
「じゃあ、山城さんって呼びますね」
「山城さんだなんて、照れちゃいますよ〜」
「山城さんは面白いですね、今度沢山お話聞かせてください」
「俺なんかの話でよければいつでも話しますよ!」
そんな僕らの会話を見ていた司は何故か
不機嫌そうな顔で僕らの話を止めた。
「山城、いつまで仕事サボってんだ。さっさと戻れ」
「あ、そうですよね!すいませんでした。じゃ佑月くんまたね!」
「うん、ばいばい」
お互い手を振り、優さんは仕事へ戻ったみたいだった。
優さんと話してるとなんだか、とても心がほっとして
気楽に話せる気がする。次はもっと話してみたいな。
そしてさっきから不機嫌そうな司に顔を向けると僕の体を無理矢理ベッドに寝かしつける。
「つかさ?」
「佑月、俺がいない時他の組員の奴らと2人きりにはなるな。わかったな?」
「どうして?」
「どうしてもだ。わかったらまだ寝とけ」
「わかった…おやすみなさい…」
「ああ」
佑月は布団を体に再び掛け、もう一度寝る事にした。
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