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第35話

目が覚めると横で一緒に寝てくれていた司はいなくて、やっぱりあの時電話をしていた相手のところへ行ってしまったんだと思い僕は急いでリビングへと向かおうとした。 「つかさっ…やだ…」 そのままベッドから降りて行こうとしたら 未だに傷が痛む。 それでもリビングへの扉を開けて飛び出した。 「つかさっ…どこ?どこにいるの?」 その時下に落ちていた何かに躓き、 普段ならバランスよく立ち直せるはずだったが また傷が痛みそのまま倒れる。 ーーーダンッ! 「佑月!?」 倒れたと同時に司の声がして 前を見てみれば司が慌てて僕の元へ駆けつけていた。 「何してるんだ。まだ安静にしてろよ」 「つか…さが、、居なくなったかと思った。僕を置いてさっき電話してた人のところに行ったかと思った…」 「電話してた奴の場所になんかお前を置いて行くわけがないだろ」 「だって…起きたら司、、いなかった…」 「あー、書斎で仕事をしてたんだ」 「なんだ…そ、、うなの…」 すると、先程まで力が入っていた体が一気に安心と共に スーッと抜けていった。 そんな僕を司は抱え上げそのままソファへと 座らせてくれた。 「驚かせたな…今日はお前の行きたいところに連れて行ってやる」 「司と…お出かけ?」 「嫌なら、行かなくてもいい」 「行く!行きたい」 「そうか、なら準備しろ?」 「うん!」 どこに行こうかな? どこなら司は一緒に行って楽しいと思ってくれるかな? 普段はきっと高そうなところに行くんだろうな。 だって…この家を見れば誰でも分かる。 分譲マンションの最上階で…この広さと、どれを見ても全部ブランドと思われる家具や司が着ている服… それに車も外車だった…。 うー… 考えると益々分からなくなってきた。 もう本人に聞く方が早いかもしれない。 よし、聞いてみよ! 「司ー!」 「あ?なんだ?」 「どこ行きたい?」 「は…?」 「だから司はどこ行きたい?って!」 「俺はお前が行きたい場所に行くと言ったぞ」 「司も楽しくなきゃ意味ないよ…」 「はぁ…俺はお前が楽しいならそれでいい」 あー、話が通じない。 僕が楽しくても司が楽しくないんじゃ意味がない。 僕だけが楽しいって、それは楽しくないのと 一緒なんだよ…。一緒にいる人と楽しめるから 初めて楽しいって思えるんじゃないの? 司がそう言うなら無理にでも僕が 楽しませればいいんでしょ!やる時はやるんだから。

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