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第25話
猫達に餌をやってから朝食を作る。
と言っても簡単な物しか作れない。まぁ、味噌汁と卵焼きがあれば立派な朝食に見えるだろ。
顔を洗い終わった千鶴が前回と同じ場所に座って、目の前に置かれた朝食を見て、目を輝かせた。
「いただきます」と二人して言うと、早速卵焼きを頬張る。
「んまいっ」
幸せそうな顔で食べ進める千鶴は、昨夜の事など忘れているかのようだった。
俺もあれは夢だったのではと勘違いしそうになる。
でも服の隙間から見え隠れするアザに、やっぱりあれは夢じゃなかったんだなとため息をつきたくなって、飯と一緒に飲み込む。
「皐月さんてイイヒトだね」
「ん? そうか?」
お節介だとか、世話好きだとかはよく言われるし自分でもそう思う。これは性分だから仕方ない。
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