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第31話
言わせておけば、コイツは好き勝手に言いたい放題だな。
確かに彼女はいないけど、言われっぱなしは癪に障る。
「誰が彼女いないだなんて言ったよ?」
嘘っぽく聞こえないように出来るだけ淡々と言うと、千鶴は一瞬、顔を強ばらせた。
「あ……なんだ、いるの?全然、気が付かなかった」
思ってた反応と違った。
直ぐに嘘だとバレて笑い飛ばされると思っていた。
「彼女いるのにオレみたいなのに関わっちゃダメだよー。彼女、構ってあげないと。ってオレがここに来たせいか」
作り笑いをして俺から目を背ける。
なんだ?なんでそんなことを言うんだ?
「ごめ……すぐ、出てく、か……ら」
最後の方は途切れ途切れで、そのまま千鶴は黙ってしまった。
俺は背けたままの表情が何故だかどうしても気になって、千鶴の目の前に座った。
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