何て答えたら正解なのか。 泣いてる千鶴の涙を拭きながら考えた。 だけど、すぐには答えは出てこなかった。 「困ってる」 苦笑いした千鶴。 落ち着こうとタバコに手をやって口に咥える。 ああ、ライターどこにやったっけ。 「オレの事、嫌い？」 「嫌いなヤツの面倒はみないよ」 火のついてないままのタバコを持て余しながら答える。 嫌いになるほど俺は千鶴の事を知らない。 「ウリやってるオレは？」 「どういう意味？」 「皐月さんがイヤなら仕事辞める」 ポロリと口からタバコを落としてしまった。 まさかそんな事、言われるとは思わなかった。 千鶴は千鶴できちんとした考えがあってその仕事をしているんだと思っていたから。 「嫌われたくないよ」 そう言ってまた泣き出す千鶴に、俺は「馬鹿だな」と呟いた。