56 / 191

第56話

俺は適当に目玉焼きを焼いて、昨日炊いておいた白米を茶碗によそい温めた味噌汁も並べる。 簡単な朝飯だけど、一緒に食べる相手がいると美味しく感じる。 千鶴は食べ方も綺麗だし、残さず食べるから見ていて気持ちいい。 「皐月さん、今日は随分オレの事見るね?」 「イヤか?」 「イヤじゃないけど、ちょっと恥ずかしいかな」 「そうか。なら穴が開くほど見ててやろう」 「えー、何それ、照れる」 照れるとか言って、全然照れてなさそうだけど。でも千鶴が楽しそうに笑っているからそれでいい。 昨日開けたピアスの穴も思ったより痛まないし、千鶴を抱いて何かが大きく変わったりはしていない。 運命が変わるかもしれない、ってんなら良い方向にだけ変われ。 千鶴がいつも笑っていられるような、幸せな運命になればいい。

ともだちにシェアしよう!