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第56話
俺は適当に目玉焼きを焼いて、昨日炊いておいた白米を茶碗によそい温めた味噌汁も並べる。
簡単な朝飯だけど、一緒に食べる相手がいると美味しく感じる。
千鶴は食べ方も綺麗だし、残さず食べるから見ていて気持ちいい。
「皐月さん、今日は随分オレの事見るね?」
「イヤか?」
「イヤじゃないけど、ちょっと恥ずかしいかな」
「そうか。なら穴が開くほど見ててやろう」
「えー、何それ、照れる」
照れるとか言って、全然照れてなさそうだけど。でも千鶴が楽しそうに笑っているからそれでいい。
昨日開けたピアスの穴も思ったより痛まないし、千鶴を抱いて何かが大きく変わったりはしていない。
運命が変わるかもしれない、ってんなら良い方向にだけ変われ。
千鶴がいつも笑っていられるような、幸せな運命になればいい。
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