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第71話

「これしか出来ない」と千鶴は言っていた。身体を売る事しか知らない生き方をずっとしてきたんだろう。 そんな人間にいきなり真っ当な人生歩め、なんて簡単に言えるわけなかった。 本人がそうしたいと本気で思わない限り、その世界からは抜け出せない。それが裏の社会で生きてる人間の柵だ。 「それでもなー……何とかしてやりたいって思うんだよ、これでもさ」 千鶴が望むようにはきっと出来ない。 そもそも千鶴が望むものが何かも知らない。 そんなダメな俺にでも出来ることがあるなら、それは千鶴の帰ってくる場所を作ってやる事くらいだ。 甘い愛の言葉なんて囁けないし、完璧な人間でもないけれど、あの古い家で千鶴を迎え入れる事は出来る。 きっと猫達も喜ぶだろう。 アイツら気ままな猫同士、仲良くやっていたし。

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