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第75話
外で待っていた河内が俺と千鶴を見て慌てて後部座席のドアを開けた。
そのまま車に乗り込んでシートに千鶴を寝かすと、その横に座ってドアを閉めた。
河内は何も言わずに運転席に座り、車を発進させる。
バックミラーに写った自分が酷い顔をしているのに気がついて目を逸らした。
「ん……」
少し車を走らせた所で千鶴が薄ら目を開けた。周りをゆっくり見渡し、俺と目が合う。
「千鶴、大丈夫か?」
「……」
声を掛けると首を傾げて「熱い」と呟き、着ていたバスローブを脱ぎだした。
驚いてそれを直そうとバスローブを掴むと、千鶴の腕が伸びてきて俺の首に巻きついた。
耳元で千鶴の吐息が漏れる。
悩ましげに身体を擦り寄せて、まるで盛りのついた猫のように俺を誘ってくる。
「ねぇ……しようよ、早く」
俺の服を脱がせようとする手を握って、千鶴の顔を見た。
虚ろな目をして、頬を紅潮させ息を乱した姿は堪らない色気を醸し出していた。
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