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第94話

少し目が覚めては、隣に千鶴の存在を確認してまた眠りにつく。 何回もそれを繰り返しているうちに深い眠りに落ちてしまった。 ハッとして目を覚ます。慌てて隣を見ると、千鶴がこちらをじっと見ていた。 ホッとして思わず顔の筋肉が緩くなる。 「おはよ、皐月さん。よく寝てたね」 「いつから起きてた?」 千鶴の頬に触れると目を瞑って擦り寄せてくるその仕草が可愛くて、米噛みにキスをする。 「一時間くらい前かな。皐月さんの寝顔、可愛かったよ」 「こんなおっさんの寝顔、可愛くないだろ」 フッと笑うと、千鶴も釣られて笑顔を見せる。 ああ、やっぱりその子供みたいな笑顔が一番好きだ。 薬も完全に抜けているみたいだし、副作用の様なものも無さそうで安心した。 もう二度とアイツに会う事がないようにしなければ。

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