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第97話

俺は産まれたばかりで、最初のうちは乳児園という所にいたらしい。 一歳になってから爺さんの施設に移って、もしかしたら実の母親が後悔して迎えに来るかもしれないと思いながら過ごした。 あまり手のかかる方では無かったと思う。 中には親に酷い虐待を受けた奴や、貧乏で飯を何日も食べられず餓死寸前だった奴もいたから、最初から親を知らない俺はまだマシだと思った。 親に期待する事を最初から知らないから、たまに近所のガキに捨て子だとからかわれても腹も立たなかった。 親に守られる事の幸せを知らないから、何が可哀想なのかも理解出来なかった。 五歳の時、ソイツは施設にやって来た。 虐待されて傷だらけの体をして、目には生気がなかった。 母親の彼氏に虐待を受けていたらしいソイツは、葛城真幸(かつらぎ まさき)という名前だった。

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