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第99話

「で、半年もしないで戻ってきた」 タバコの煙を宙に吐いて消えていくのをぼんやり見つめる。 腹を満たした後、千鶴が聞きたいと言った過去をポツリポツリと話す。 膝に猫を乗せて千鶴は黙って聞いていた。 最初っから重い話だと我ながら思う。 でも俺はまだマシだ。虐待する親がいなかったんだから。 「せっかく笑う様になってたのに、戻ってきた真幸はまた笑わなくなってた」 引き取られて行ったあと、真幸の母親はまた新しい彼氏を家に引き入れていた。 ソイツが最悪な奴で穴さえあれば男でも女でも何でもいい変態だった。 真幸の母親の目を盗んではその彼氏に犯され続けた真幸の心は完全におかしくなっていた。 結局、ソイツにヤラれている所を母親に見つかって今度は母親から暴力を受けるようになった。 定期的に家庭訪問にくる職員が真幸の怪我に気がついて直ぐに保護された。 戻ってきた真幸に俺は何故だか「おかえり」と声を掛けた。

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