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第106話

真幸が荒れていく程、俺はそれに充てられていった。 不満を暴力で発散する真幸を見る度に俺の中に無かった怒りが生まれて、気が付くと真幸と一緒にその怒りを暴力に変えていた。 ただ幸せに暮らしたいだけなのに大人に振り回されるしかない憤りを誰かを傷付ける事で誤魔化していた。 真幸は俺が人を殴る度に笑った。 「お前、感情ないのに暴れる時だけ楽しそうだな」と、面白そうに言われてショックを受けた。 俺も虐待する親と同じだ。 暴力をふるうことでしか自分を表現出来ない人間だったんだ。 それでも俺は真幸と一緒に荒れまくった。 今まで大人しかった分、反動のように暴れまくった。 頭では最低だと判っていても、止められなかった。 真幸はそんな俺をとても気に入っていた。 幼い頃からあった執着が更に強くなって、片時も側から離そうとしなかった。

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