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第113話
その日は久々に同じ布団で眠った。
まるで子供みたいに。
もう二度と真幸に会えなくなるかもしれない。そう考えると寂しいと素直に思えた。
禄なことをしてこなかった二人だけど、信頼し合っていた。
きっとずっと真幸の事は忘れないし、困った事があったら助けに行く。
真幸の「好き」には答えられなかったけど、真幸はそれで納得していた。間違ってないと思っていた。
決まっていた高校は距離的に通えないから、引越し先の近くの高校に行けるよう真幸の新しい父親が手続きを済ませていた。
施設にあった真幸の荷物が運ばれていく。
真幸はそれを見届けもせず、施設の門の前で佇んでいた。
俺は部屋の窓から真幸を見送った。
真幸は窓を見上げて俺の姿を確認すると、少しだけ笑顔を見せてすぐに背中を向けた。
幸せになれ、幸せになれ。
沢山、幸せになってくれ。
もう二度とここには戻って来るな。
戻って来ても、今度は「おかえり」は言わないから。
だから、幸せになってくれ。
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