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第114話

そこまで話し終えると、一息つくために台所でコーヒーを淹れた。 千鶴の分も用意して居間に戻る。 千鶴は居眠りをする猫達を撫でながら考え事をしているようだった。 俺の過去をこんなに詳しく話したのは千鶴がはじめてだ。捨て子だった、と話すとだいたいの人間がそれ以上を聞いてこようとはしない。 何を言っても同情にしかならない事を皆知っている。だから深くは聞いてこない。俺も話したりしない。 特に真幸の事は誰にも話したりしなかった。ずっと、俺だけの中に留めていた。 テーブルにコーヒーを置くと、猫を撫でていた千鶴がこちらに戻ってきた。 まだ熱いコーヒーをふぅふぅと冷ましながら少しずつ飲んでは、また冷ますを繰り返す千鶴の髪に触れた。 明るい色の柔らかい髪。 シャンプーとは違う甘い匂いがする。

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