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第122話

頑張って大学も行けと言う爺さんの期待に応えようとちゃんと勉強しながら、バイトも始めた。 バイトの給料を爺さんに渡すと自分の為に使えと怒られて、俺はガキみたいに拗ねた。 恩返しをしたかった。 中には新しい家族に養子縁組され引き取られていく子供もいる中、俺は表情もなくて子供らしくなかったし売れ残りみたいなもんだった。 そんな残念な俺をここまで育ててくれた爺さんと施設に何かしたかった。 でも高校生が出来ることは殆どなくて、受け取って貰えないバイトの給料は手付かずのまま貯まっていった。 せめて勉強はしっかりやろうと、図書室なんかに通って本を読むようになった。 学校の連中は俺が施設育ちだと知ると、同情の目で見てきたし、真幸としてきた悪さのせいもあって一人でいる事が多かったから図書室は静かで安心した。

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