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第123話

それまで漫画くらいしかまともに読んだことがなかったから、図書室は未知の空間だった。 色んなジャンルを読んで、それまで必要としなかった知識を急速に吸収した。 難しい漢字や意味もわざわざ辞書を引いて調べては、また読んでを繰り返した。 一冊読み終わると体の内側がウズウズした。何かが溢れてくるみたいな錯覚がした。 担任との個人面談があった時に何となくその話をしたら、自分で物語を書いてみたらどうだ、と言われた。 担任からしてみればただの思いつきで深い意味は無かったのかもしれない。 けれどその言葉が衝撃的で、その日から俺は図書室に本を読むためでは無く物語を書くために通うようになった。 シンプルなノートとシャープペンと消しゴム。 頭から溢れてくるウズウズをノートの中にひたすら書き殴った。何かに取り憑かれたみたいに、必死に書き続けた。

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