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第126話

俺の書いた拙い話を根津は最後までちゃんと読んでくれた。そしてノートの最後のページに赤ペンで花丸を貰った。 初めて他人に自分を認めてもらった気がした。それから暫くは勉強して、バイトして、後の余った時間を創作に使った。 「告白はしなかったの?」 ローテーブルに頬杖をついた千鶴に、首を横に振って答えた。 「結婚してたし、子供もいて幸せそうだったからなー。好きになった時点で失恋してたんだよ」 「でも言わないと後悔しない?」 「言う前に俺の方が気持ちに整理がついてたんだよ。だから卒業する頃には恋愛感情はなくなってた」 根津を好きだという気持ちも、それが叶わない気持ちだと言う事も全部を創作の中に詰め込んだ。 あの頃の未成熟な想いはそうすることで片付けていた。その方法が俺には合っていた。 高校生活で自分の事を色々知った。 それだけで学校に通った甲斐があった。

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