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第128話
施設にたまにおもちゃや服を買って寄付するくらいには頑張ってた。現金は爺さんが絶対に受け取らないから、物で恩返しをしてるつもりだった。
その頃が一番、人間らしい生き方をしていたと思う。職場の上下関係も俺の身の上を知ると甘やかしてくれる先輩ばかりで、酷く擽ったい気持ちになったもんだ。
二十歳になって、高校の同窓会が行われた。俺には友達はいなかったけれど、もしかしたら根津も顔を出すんじゃないかと思って参加する事にした。
久しぶりにあった同窓生は変わらない奴もいれば、変わり過ぎた奴もいて意外と楽しめた。あの頃より話しやすくなったと誰かに言われた。
適度にアルコールが入って、近況なんかを話し始めた時に根津の話題が出た。
俺は思わず聞き耳を立ててしまった。
今も元気で生徒に人気の先生をやっているんだろうと勝手に思っていた。
けれど、現実は違った。
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